久々の大量飲酒に胃が悲鳴!?
もうすぐ年末。一年の疲れがドッと出る時期だが、長引くコロナ禍でこれまでより生活習慣の乱れやストレスを感じている人が多いという。心身の不調は胃に表れるといわれるが、これは体からの大切なサイン。そこで胃に関するトピックスを本日付とあす24日の「情報新鮮便」に「前後編」として掲載する。前編には東京医科大学の河合隆教授(62)が登場。専門家が語る「胃の秘密」を知れば、目からうろこが落ちること間違いなしだ。
緊急事態宣言が解除され、酒類の提供や20時以降の飲食店の営業が可能になった。コロナ禍の不安にかられた一年の疲れを癒す忘年会、22年の幕開けを祝う新年会…。20年初頭以来2年ぶりに開かれる会合を楽しみしている人にとっては、待ちに待った時期だといえる。
「自分たちはお酒を飲んでコミュニケーションを図ってきた世代です」という河合教授にとっても、人と人の触れ合いが大切であるという考えに変わりはない。その一方で、消化器内視鏡学を専門にするだけに「胃の不調を訴える人が増えていることも事実です」という。
「肝臓は〝沈黙の臓器〟と言われますが、胃は〝おしゃべりな臓器〟です」と話す通り、胃もたれなどの不快症状は食習慣や睡眠の質、ストレスの有無など心身の状態を教えてくれるもの。こうした胃のサインを放置すれば危険信号が点滅してしまう。
「以前は胃の病気といえば胃炎や胃潰瘍(かいよう)しかありませんでした。それが、今では胃がキレイなのに不調を訴える人がいるのです。少し前までNUDと呼び、今ではFD、つまり機能性ディスペプシアと言われる病気です」と説明した。胃痛、胃もたれ、膨満感など原因不明の症状があれば機能性ディスペプシアの可能性があるので要チェックだ。
また、胃の不調を強く感じる人の対処法のトップ3が「胃薬」「乳酸菌」「睡眠」だということにちなみ「コロナ禍での家飲みでは以前より酒量は減っています。それが解禁されたことでうれしくなり、大量に飲酒し酔っ払ってしまうケースがあります。飲酒前に乳製品を飲むことが胃の粘膜を守ります」と話した。「胃の内側に膜をつくり、アルコールによる粘膜障害を防ぎます。コップに少量でいいので、お酒を飲む直前に摂取すると効果的です」とLG乳酸菌などを含むヨーグルトなどの大切さに触れた。
さらに、河合教授は胃の豆知識も披露。「例えば、別腹という言葉があります。おなかがいっぱいなのに、おいしそうなものを勧められると入ってしまいますね。これは神経の反射によって胃が一部広がり、容量が増加している可能性があります」と説明。胃と脳が影響しあっていていることを「胃脳相関」というそうだ。また、逆流性胃腸炎などに顕著なように、胃酸は食道を溶かすほど強力なのにどうして胃は溶けないのか。「胃の表面は粘液層に守られています。これは胃酸を中和するので溶けません」と語った。
そんな胃の専門家も適度な飲酒と楽しい会合を待ち望んでいるひとり。「やはりきちんとワクチンを打っていただき、手洗いとうがいをすることが大事です」とコロナウイルス感染防止の重要性について言及。ワクチン接種など自分でできることをこなしつつ、胃などの臓器をストレスから守っていけば、楽しい年末年始が迎えられるはずだ。
<11月23日付 スポニチ本紙掲載記事>