兵庫・明石で海の幸と「明石だこ」

兵庫県明石市は明石海峡の豊かな海に育まれた海の幸の宝庫だ。なかでもここで水揚げされるマダコは「明石だこ」のブランドで全国に知られている。卵をたっぷり使ったやわらかい生地とタコの歯ごたえを楽しむ「玉子焼」は地元の名物料理。11月には明石市制施行100周年記念事業として、全国のご当地グルメが集結する「B―1グランプリin明石」が開催されるが、明石市は2016年にグランプリに輝いている。

活きだこを素手でつかみ笑顔の明石たこ大使のさかなクン(左)と泉房穂市長

“明石焼”は芸名で本名は“玉子焼”⁉

夢工房 西明石店

西明石駅から徒歩数分の「夢工房 西明石店」は明石のソウルフード「玉子焼」が体験できる店だ。玉子焼は一般に「明石焼」と呼ばれ、タコ、卵、小麦粉、だし汁、そして小麦粉のデンプンを精製した「じん粉」を使用。銅鍋で器用に箸を使って焼き、それをあげ板にくるりと移し、だしにつけて食べるのが特徴だ。

タコを卵たっぷりの生地で包んでふんわりと焼き上げる。あつあつの玉子焼を、薬味を浮かせただし汁につけて口に運ぶと、トロリとほぐれる柔らかい生地、コリコリとしたタコの食感が楽しめる。

だしに浸ける「タコ焼き」ではないのかという人がいるかもしれないが、声を大にして「違う」といえる。

タコ焼きは鉄板で焼き、紅ショウガを入れ、ソースをつけて食べるのが定番で、材料も作り方も玉子焼と似て非なるもの。そもそも、小麦粉を主体とする生地にコンニャクやスジ肉を入れて焼いていたが、「明石ではタコが入っている」という客の言葉にヒントを得てタコ焼きになったというから玉子焼がそのルーツというわけだ。

「夢工房 西明石店」のあかし玉子焼ひろめ隊の古志隊長 

玉子焼を味わえて予約すれば調理体験もできる「夢工房 西明石店」は「あかし玉子焼ひろめ隊」の古志利宗(こし・としむね)隊長がプロデュース。2010年に活動をはじめた同隊をけん引する元気印で、タコを模したユニホームで東奔西走している。

「タイやアナゴなど明石には宝物がたくさんあるが〝一点突破型〟でいこうと思いました」と玉子焼に焦点を絞った経緯を明かし「〝明石焼〟は芸名で、本名は〝玉子焼〟。タコ焼きをだしにつけて食べるのではないことを知って食べていただきたいです!」とアピールした。

今年は市制施行100周年を記念したビックイベントも控えている。11月23、24日に「第11回ご当地グルメでまちおこしの祭典!B―1グランプリin明石」の開催が決定し、そのホストタウンとして全国から55団体と40万人を見込む来場者を迎える。また、10月11~13日には有楽町・東京国際フォーラムで開催される「東京味わいフェスタ2019」でひと足先に明石焼に出合える。店舗の詳細は公式サイト(下記)へ。玉子焼は10玉540円で、「アナゴ玉子焼」や半熟カステラ「大黒堂の福玉焼」もおすすめ。

▶B-1グランプリin明石 公式サイトはこちらから

楽しい企画満載!8月25日「明石浦 魚祭り」は要チェック!

明石浦漁協

明石浦漁協での活魚のセリの様子
新鮮な海の幸が水揚げされる

明石浦漁業協同組合では明石だこや明石鯛を筆頭に、年間約100種類の海の幸が水揚げされる。たこ漁は午後11時頃から翌朝までかけて行われることが多く、重量や見た目を基準に取り引きされる。明石で揚がるマダコは潮流が速いため足が太短く、好物の貝やエビなどが豊富で、ゆでると小豆色になるのが特徴。今の時期が旬で、歯ごたえがありながら柔らかく旨みが増す。

そして、明石浦漁協は活魚のセリが行われることでも知られている。吉谷亮主任とともに場内を歩くと、威勢のいいかけ声が聞こえてきた。

午前11時頃から行われる活気あふれるセリは、海水を引き込んだプールと呼ばれるいけすからあげられた魚がレールの上を走るように通って次々とセリ台に乗せられ、わずか数秒でセリ落とされていく。

漁師、仲買、漁協スタッフの手によって魚はつながり、その日のうちに鮮魚店や飲食店に並ぶ。「誰でもセリに参加できるわけではありません。信頼関係が大切になります」と戎本裕明組合長は話す。セリは明石観光協会に申し込めば見学も可能。そして8月25日の催し「明石浦 魚祭り」も要チェックだ。明石の豊かな海と食文化を楽しみながら学ぶことができる。

「まえもん」と称される鮮魚の販売や食堂、たこや魚釣りなど楽しい企画が満載で「夏休み最後の日曜日になる方も多いと思います。ぜひ、お越しください」と吉谷主任は声を弾ませた。明石浦漁協は下記サイトで情報発信中。

▶ 公式HP

▶ フェイスブック

▶ クックパッド

さかなクンが描いたマンホールがお出迎え!

明石たこ大使・さかなクンが描いたマンホール

魚の棚商店街

明石たこ大使を務める魚類学者でタレントのさかなクンが、今月6日、「お魚教室 あかしの宝物タコを守ろう!」と題したトークショーを終えたのち、「明石半夏生(はんげしょう)たこまつり」縁日会場のあかし市民広場に泉房穂市長に案内されサプライズで登場した。 活きだこを素手でつかみ「元気ですね!とびきりステキなタコちゃん、ギョギョギョ」と笑顔を振りまいた。

「明石の荒々しい海にもまれて踏ん張っている。とってもおいしいし、玉子焼も大好き」とアピールした。

名店が並ぶ「魚の棚商店街」

さかなクンが描いた明石だこや数々の魚のイラストを採用したマンホールが点在する「魚の棚商店街」もぜひとも訪れたい場所。明石城下で約400年の歴史があり、明石の台所として親しまれてきた。「昼網」と呼ばれる明石の捕れたての魚や明石だこを扱う「松庄商店」、珍味や総菜の名店「味よし」など買って楽しく、食べておいしい店舗がズラリ。

さあ、待望の夏休み突入。この夏のキーワードは「明石だこ」。人情たっぷり、旨いものづくしの明石を訪れ、その魅力を堪能してほしい。