各国愛煙家が”ノーサイド交流”

非喫煙者に配慮し分煙措置で日本流おもてなし

エコパスタジアムで直撃取材 ラグビーW杯日本大会は26、27日に準決勝を行い、いよいよクライマックスを迎える。9月から各国の選手やサポーターが来日し、試合はもちろん活発な異文化交流が行われている。中でも、国ごとの喫煙事情はさまざま。今大会では全会場に喫煙所を設置し、改正健康増進法に基づく非喫煙者に配慮した分煙措置を行っている。日本が実施するサービスについて、スタジアムのファンに思いを聞いた。

ラグビーW杯会場のエコパスタジアム

外国人ファンに好評「素晴らしい」

スコットランドから来たアンドリューさん

スコットランド、ロシア、そして日本のファンが仲良く紫煙をくゆらせた。

9日の静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアム。プールAのスコットランド―ロシア戦の会場では、入場門の手前右サイドと場内屋外コンコースなどに喫煙所が設けられた。

現在、欧州などでは屋内は禁煙でも屋外は比較的自由に喫煙できるところが多い。そんな外国人ファンに向け、スタジアムは随所で「喫煙スペース」への案内がイラストと英語で表示されていた。

スコットランドの民族衣装をまとったアンドリューさんは20年来の愛煙家。エコパでも屋外の喫煙所を利用し「私はイングランド出身だが、父がスコットランド生まれなんだ。たばこは僕にとって大事なもの。この喫煙所は素晴らしいね」と試合前の一服を楽しんでいた。

外に設置された喫煙所はテント仕様

ロシアのロゴ入りジャージーに身を包んだ福井県出身のシニア男性は「同じプールAのジャパンのために、神戸と静岡でロシアを応援した」と笑顔。喫煙事情について「最近は英国のパブでも吸えなくなっている。神戸もエコパも喫煙所がきちんとあって、アイルランド、スコットランド、ロシアのファンと一緒に吸ったよ」とうれしそうに話した。

また、ラグビーのメッカである東大阪市の花園ラグビー場にはユニークな喫煙スペースが登場。約220平方㍍の広さを誇るバックスタンド側の喫煙所は、ミニサイズのラグビーグラウンドを模したデザインが話題となった。円柱型の灰皿をラグビー選手のポジション仕様で、グラウンドの両端にはゴールポストも設置。多くのファンから好評だった。

このように、ラグビーW杯日本大会は改正健康増進法に基づく非喫煙者に配慮した分煙措置を行っている。しかし、来年の五輪・パラリンピックでは競技会場の敷地内が完全禁煙になる。世界の流れが禁煙へ向かっていることは確かだが、一方で16年のデータではロシア人男性の喫煙率は58・3%、ジョージアは55・5%と極めて高いことも明らかになっている。

果たして完全禁煙にすることが日本流の「おもてなし」なのか、それとも分煙措置が求められているのか。今大会が国際イベントの喫煙問題に一石を投じたことは確かだろう。

スタジアム内に設置された喫煙所
エコパの喫煙所について話すジョンさん

スコットランドを応援した同国出身のジョンさんは「エコパの喫煙所は分かりやすかった。今僕は30歳で、たばこも酒も好きだ」と笑う。

試合はスコットランドが大勝したが、試合後に各国ファンが集まってたばこを吸う姿はまさに〝ノーサイド〟を象徴するもの。分煙措置が、敵味方のない空間を生み出していた。

 

 

喫煙所設置にひと言

エコパでは喫煙所設置に対し、さまざまな意見が寄せられた。40代日本人女性は「子供もいるし、夫には禁煙してもらっているけど人に迷惑をかけないように吸ってもらう分にはいい。(東京五輪の)全面禁煙はちょっとかわいそう。そこらで吸う人が増えたら嫌だ」と語った。

スコットランド出身の30代男性は「エコパは外に喫煙スペースがあって開放的で素晴らしい。通行人の迷惑にならないように分煙できているしね」と話し、ロシア出身の30代男性は「日本は喫煙者が少ないように感じる。ロシアの喫煙人口はすごいよ。このスタジアムの喫煙所は少し窮屈だけど、あるだけありがたい。東京五輪は全面禁煙になる?俺は構わず吸うね!ほかのロシア人もそうだと思う」と話した。

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