将棋日本シリーズ「JTプロ公式戦」
子ども棋士興奮‼ 目の前で
豊島 JT杯覇者 VS 藤井竜王
JTグループが手掛ける「将棋日本シリーズ」は「みんなで楽しめる将棋の一日」を目指して実施されている。見て学ぶ「JTプロ公式戦」と、指して学ぶ「テーブルマークこども大会」があり、同日同会場で行われる将棋イベントとして毎年全国地区で開催。今年の〝トリ〟となった東京大会は先月21日に幕張メッセで行われ「JTプロ公式戦」は豊島将之JT杯覇者(31)が藤井聡太竜王(19)=王位、叡王、棋聖含め4冠=に勝利した。こども大会に出場した若き棋士たちは憧れのプロ対局を体感し、大きな刺激を受けていた。
豊島が連覇
「ひとつ前に進む。ひとつ強くなる。」というキャッチフレーズの通り、こども棋士の目が輝いた。
午後5時過ぎ、豊島と藤井の公開対局がスタートした。振り駒から投了までをすべて観戦できる公開ライブ。憧れの棋士のたたずまい、姿勢、駒の音までを肌で感じることができる。午前中から行われた自身の対局で腕を磨き、夕刻からはプロの対局を体感。一日を通して過ごした将棋の時間は文字通り「次の一手」につながるものとなった。
今年の将棋界を象徴する豊島と藤井の激突は42回目の「将棋日本シリーズ」にふさわしい対戦カード。その大舞台で豊島が前年度覇者としての貫禄を示した。角換わりの出だしから、力強く踏み込み藤井を圧倒。「縮こまって負けると悔いが残る。そういうのは良くないので、強い相手だからこそ踏み込んでいこうという気持ちだった。ひとつ結果が出せて良かった。この夏から負けが続いているが、この優勝を励みに頑張っていきたい」とほほ笑んだ。表彰式ではJT杯と優勝賞金500万円、副賞としてテーブルマークのパックごはん1年分が贈られた。
藤井は大会OB
一方の藤井は悔しそうに天を仰いだ。感想戦では、中盤で藤井の急所の玉頭に向けて豊島が歩を進めた局面を挙げて「予想外に厳しい手で苦しいのかなと思った」と悔やんだ。
その藤井はかつて「テーブルマークこども大会」に出場し優勝した経験を持つ。それだけに、この日の「テーブルマークこども大会」に出場した棋士に「自分たちも頑張ればできる」という希望を与える存在。この日は敗れたが、深い思考や攻めの姿勢が大きな影響を与えたことだろう。
前年の決勝戦はコロナ禍の影響を受けてスタジオでの無観客試合だったが、今年は有観客での開催となった。観戦は事前申し込み抽選制で、定員を大きく上回る申し込みがあった。インターネット放送局のABEMAでの生配信を含め、多くの観客が対局を楽しんだ。会場ではテーブルマークコーナーが設置されたほか指導対局、詰め将棋クイズなどが行われ、誰もが楽しめる空間は好評だった。
「将棋に関わるすべての人に、ひとりひとりの大切な〝ひととき〟を。JTグループは、その先に広がる、限りない可能性を応援し続けていきます」。楽しい時間を提供したJTの思いは、すべての人に届いたはずだ。
テーブルマークこども大会
20回目の開催となった「テーブルマークこども大会」。その集大成となる東京大会は、高学年574人、低学年523人が出場した。
ブロック対局を経て行われた決勝。高学年の部は並木智裕さんと佐藤洋輝さんの顔合わせとなり、先手の並木さんが103手で勝利。「3、4歳で将棋を始め、地域の人に習った」という逸材は「攻められにくい展開になったので、まあまあかなと思った」と振り返った。惜しくも準優勝だった佐藤さんは「攻めに行かなければいけないところで受けてしまった。見直さないといけない」と語った。
低学年の部は和田耕真さんと祝井千空さんとの顔合わせで、和田さんが優勝した。解説の阿久津主税八段は「レベルが高く、見応えがあった」と評した。
将棋クラブ出身 内村サプライズ
「何事も毎日続けることが大事」
テーブルマークがスポンサードする体操日本代表の内村航平(32)がサプライズゲストとして登場した。小学校の将棋クラブ出身で、この日は小学生の即席チームと対戦したり、表彰式のプレゼンターを務めるなどフル回転した。対局では時間切れで連敗し「僕は将棋で先を読んだりしたことはないので、惨敗でした。普段やっていないことはできない。何事も毎日続けることが大事です」と感想を述べた。