渡邊壽信頭取に聞く~地域貢献をしたいという考え、高校球児たちの熱い夏を応援

企業のCSR(企業の社会的責任)としてスポーツ振興に力を入れている企業は数多くあるが、2018年に誕生した地方銀行・きらぼし銀行もその1社だ。サッカー、マラソン、大学野球などを支援しているほか、陸上やスピードスケートの選手を雇用。さらに今年はMXテレビが放送する「2020年夏季東・西東京都高等学校野球大会」に協賛し、球児の熱い夏を応援する。渡邊壽信頭取にスポーツ振興を通じた地域貢献活動について聞いた。

きらぼし銀行に入行した陸上棒高跳びの澤慎吾(左)とスピードスケートショートトラックの岩佐暖(右)と笑顔で握手をする渡邊壽信頭取

サッカー、マラソン、大学野球など幅広く支援活動

港区南青山3丁目にあるきらぼし銀行本店ビルの外壁には、東京五輪・パラリンピックの大会エンブレムが装飾されている。

1階ロビーのレイアウトも変更し、外国人観光客向けに五輪・パラリンピックの案内をする態勢も整えていた。残念ながら大会は来年に延期となったが、フロアに足を踏み入れれば、スポーツ支援の本気度がひと目で分かるようになっている。

渡邊頭取は「基本的には地域貢献をしたいという考えで行っていることです」と説明する。例えば、Jリーグ・FC東京を運営する東京フットボールクラブと連携。「きらぼし銀行Day」の名で冠試合を実施し、子どもたちの育成資金を継続的に贈呈しているほか、都内在住の小学生グループや少年少女サッカーチーム、従業員、顧客を試合に招待している。

「将来のある子どもたちや商店街の方々が地元のチームを応援することで地域を活性化できないか。そんな思いで開催しています」とイベントに込めた思いを明かした。サッカー以外でも「MINATOシティハーフマラソン2019」への協賛、小学生バレーボール大会や少女サッカー大会をきらぼし銀行「夢」カップとして開催。東都大学野球連盟にも協賛し表彰式で「きらぼし賞」を授与するなど幅広い活動を行っている。

そして、今夏は特別に高校球児たちを後押し。MXテレビが放送する「2020年夏季東・西東京都高等学校野球大会」に協賛社となり、球児の熱い夏を応援しているのだ。

渡邊頭取自身も小学校から野球を始め、大学2年までプレーした。06年からは新宿区の戸塚地域を拠点とする学童野球でコーチ・監督として指導。一時、中学クラブチームのコーチも兼任するなど奮闘してきた。

「息子が少年野球チームに参加したこと」が指導者になったきっかけで、現在の高校3年生は小学校、中学校と指導者としての関与が最も深い年代だという。それだけに「全国大会は中止となってしまったが(東西大会の実施で)プレーする姿を保護者に見せられるのはよかったと思う。特に母親の皆さんは弁当づくりから選手たちを支えてきたので喜んでいるのでは。ぜひ、選手の皆さんには頑張っていただきたい」と番組協賛への熱い思いを吐露した。実際、役員会で番組協賛の話が出たときには「全員一致で賛成した」という。

トップアスリートを積極雇用 「東京都スポーツ推進企業」に認定

陸上棒高跳・澤慎吾&スピードスケートショートトラック・岩佐暖が入行

さらに、去年は特筆すべき事例もあった。「生活環境を安定させながら競技活動に集中したいと考えるトップアスリート」を2人採用したのだ。

陸上棒高跳びの澤慎吾(23)とスピードスケートショートトラックの岩佐暖(24)が入行。それぞれ経営企画部とコンサルティング事業部で勤務しながら競技を続けている。

 

東京五輪延期で代表の座を狙う陸上棒高跳びの澤
目標は22年冬季北京五輪出場のスピードスケートショートトラック・岩佐

澤は入行後に自己ベストをマークするなど伸び盛り。現在は日本ランキング4位と来年の東京五輪代表の座が狙えるまでに成長した。岩佐も故障を乗り越え、日本代表として昨年のW杯を転戦。目標は22年の冬季北京五輪出場だ。

澤が「五輪が延期になったので、上位3人に選抜されるチャンスをもらったと思っています。絶対に出たい」と言えば、岩佐も「同期の澤の存在が刺激になっています。彼が夏に頑張れば、冬は僕が頑張る」と相乗効果を口にした。ユニホームの左胸に「きらぼし銀行」のロゴを着けて戦う2人について、渡邊頭取は「行内に一体感が出ました」とうれしそうに話した。

このような積極的な取り組みが評価され、きらぼし銀行は「東京都スポーツ推進企業」に認定された。また、東京都が立ち上げたパラスポーツを応援する人を増やすプロジェクト「TEAM BEYOND」にも登録。パラスポーツ振興にも協力している。 今後の目標も明確だ。スポーツを通じた地域社会の発展。地元地域が永続的に発展するための、次世代につながる社会づくり、環境づくり。それが、きらぼし銀行が目指す未来だ。

熱い思いを語る渡邊壽信頭取

♤渡邊 壽信(わたなべ・ひさのぶ) 1962年(昭37)8月16日生まれ、東京都出身の57歳。中大商学部卒。85年東京都民銀行入行。14年執行役員。17年東京TYフィナンシャルグループ取締役、東京都民銀行取締役常務執行役員。18年5月から東京きらぼしフィナンシャルグループ代表取締役副社長、きらぼし銀行取締役頭取。20年6月から東京きらぼしフィナンシャルグループ代表取締役社長。

▼きらぼし銀行 東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京が18年5月1日に合併し、きらぼし銀行としてスタート。1都3県の首都圏を中心に展開。首都圏における中小企業と個人の顧客のための金融グループとして総合金融サービスを提供。きらぼしコンサルティング、きらぼしテック、きらぼしキャピタルなどさまざまなグループ会社と協力し、高い総合力で顧客をサポート。今年8月には、きらぼしライフデザイン証券の開業を予定。

 

澤は入行後に自己ベストを更新

♤澤 慎吾(さわ・しんご)1996年(平8)9月28日生まれ、島根県出雲市出身の23歳。大社―日大。陸上棒高跳び選手。19年東日本実業団選手権で5㍍40をマークし優勝。同年4月1日に入行し、経営企画部所属。1㍍84。血液型B。

 

 

 

 

故障を乗り越え昨年はW杯を転戦した岩佐

♤岩佐 暖(いわさ・だん)1995年(平7)12月18日生まれ、神奈川県相模原市出身の24歳。町田総合―神奈川大。スピードスケートショートトラック選手。19年10月の全日本距離別選手権1500㍍優勝。同年4月1日に入行し、コンサルティング事業部所属。1㍍67。血液型AB。

 

 

 

 

<7月22日付 スポニチ紙面掲載記事>

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