昨年4月改正 健康増進法の全面施行から間もなく1年

昨年4月に改正健康増進法が全面施行され、間もなく1年がたとうとしている。「望まない受動喫煙の防止」を目的にした法律だが、屋内外の喫煙所不足により、路上喫煙が増加している。マナー違反による「望まない煙」をなくすためには何が必要なのか。有効策について考察した。

喫煙所有効8割超

JR王子駅北口に設置されている喫煙所

改正健康増進法により、屋内では喫煙専用室以外は禁煙(個人経営の店舗などを除く)となった。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、一時は喫煙室を閉鎖する施設もあった。屋内での喫煙場所は如実に減少したが、屋外の公共喫煙所は完備されているとは言いがたい状況だ。

東京・池袋駅周辺では、最初の緊急事態宣言を経て公共喫煙所が4カ所から2カ所となった。この影響で喫煙マナーの悪化が目立つようになり、閉鎖された喫煙所の周辺では吸い殻のポイ捨てが散見されている。屋外喫煙所の少ない都庁周辺エリアでも同様の報告がなされている。

ネオマーケティング社は昨年10~11月に全国の20歳以上の男女1万人を対象に「たばこのマナーに関する調査」を共同で実施した。その中で、「歩きたばこなどのマナー違反による望まない煙を減らすには、ある程度喫煙所は有効だと思うか」という問いに「そう思う」と回答したのが8割を超えた。うち喫煙者は89.3%で、非喫煙者も77.8%に上った。

また「吸ってもよい場所でマナーを守っていれば、たばこを吸っても構わないか」という問いに「構わないと思う」と回答したのは喫煙者が88.6%、非喫煙者は70.0%。愛煙家を完全に閉め出すのではなく、分煙がきちんと確立される環境整備が求められていることは明らかだ。

税金の活用もカギ

令和3年度税制改正大綱では「地方たばこ税の活用を含め、地方公共団体が駅前商店街などの公共の場所における屋外分煙施設等のより一層の整備を図るよう促すこととする」と記載されている。たばこは税負担が重い商品で、一般的な紙巻きたばこで税負担率は6割に達している。たばこ税の半分にあたる地方たばこ税は、2018年度で9882億円を計上している。喫煙者も非喫煙者も快く過ごすためには、1兆円近い税金の有効活用がカギとなる。

議員だけを特別扱い⁉国会内に喫煙所83カ所

〇…改正健康増進法の全面施行後も、国会内には喫煙所が83カ所も存在している。共同通信によると、衆院は本館2カ所と議員会館39カ所など計53カ所、参院は本館3カ所と議員会館22カ所など計30カ所。学校や病院よりも規制が緩い飲食店などと同様の扱いになっているためだ。この報道で世間からは「受動喫煙防止なら、もっとたくさん公共の喫煙所を整備して作ってほしい」と、国会や議員だけを特別扱いするのではなく、市中での喫煙所の整備の声も聞こえている。

<2月24日 スポニチ本紙掲載記事>

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