ウィズコロナ、アフターコロナで需要拡大

発表会でトークセッションに登場したテリー伊藤(左)と渡辺美樹ワタミ会長

飲食チェーン大手のワタミが「ワタミデリバリー」事業を開始した。「から揚げの天才」「bb.qオリーブチキンカフェ」の2業態を対象に自社でデリバリー事業を行うもの。このほど都内で行われた発表会にはタレントのテリー伊藤(70)とワタミの渡辺美樹会長(60)が出席し、トークセッションなどで盛り上がった。

デリバリーを開始した「から揚げの天才」の大鳥居前店でポーズ

外部サービスより大幅に価格を抑える

ウィズコロナ、アフターコロナ時代に対応する戦略だ。

7月1日から順次事業を開始した「ワタミデリバリー」は同社が展開する「から揚げの天才」と「bb.qオリーブチキンカフェ」が対象。外部のサービスは使わず自前でデリバリー事業を行う。

コロナ禍の現在「から揚げの天才」のテークアウト比率は90%。「bb.qオリーブチキンカフェ」は、外部の宅配サービスを活用したデリバリーでは3月以降の売り上げの伸びが高く、5月のデリバリー売上高は3月までの月間売り上げの2倍を記録したほどだ。

このような中食需要の高まりを受け、店舗展開を加速させFC展開も本格化。7月末までに店舗、今年度中には100店舗の出店を予定している。さらに渡辺会長は「バブルの頃に『お好美壱番KEI太』で宅配を展開してきた当時のノウハウを活用する」と新たな戦略導入を決意。それが「ワタミデリバリー」なのだ。

デリバリーシステムについて語り合うテリー伊藤と渡辺会長

手数料3段階設定 加盟店もメリット

特徴はデリバリー手数料を3段階で設定したこと。1000円までの注文なら350円、1501~3000円なら200円、3001円以上は無料だ。外部の事業者を活用するデリバリーサービスよりも大幅に価格を抑えている。加えて自社でデリバリー事業を行うことで、店舗側が手数料を支払う必要もなくなることから、FC展開を図る「から揚げの天才」では加盟店側もメリットを享受できることになる。

渡辺会長は「外部のサービスに頼った形ではデリバリーの売上規模が3割を超えると収益を圧迫することになる。ここにきて、1店舗でデリバリーが月商500万円を超える見通しが立った」と具体的な経営戦略も披露。「自社で配達することが大きな武器。どの企業と比べても最安値」と手応え十分だ。

イベントにゲスト出演したテリー伊藤も太鼓判。「から揚げの天才」ではこだわりの玉子焼きを監修するだけに「(から揚げが)1個99円という安さが魅力。デリバリーによって値段が高くなることに消費者から疑問の声もあっただろう。自社で配達まで手がけて価格を抑えたのは素晴らしい」と笑みを浮かべた。

イエローにカラーリングされた配達用バイクにまたがって「出発式」に臨み「これからは〝デリー伊藤〟と呼んでください。渡部にも届けます!」と活動自粛中の「アンジャッシュ」渡部建(47)を引き合いに出して笑いを誘った。

「外出に苦労する高齢者や、自宅で食を楽しみたい人が増えていることから、今後はデリバリーが主流になると思う」。ウィズコロナ、アフターコロナ時代の新需要について力説した。

 

<7月8日付 スポニチ本紙掲載記事>

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