アサヒビール・アサヒ飲料カップ2018スポニチ「飯岡ヒラメ釣り大会」が10月14日、千葉県飯岡沖で開催された。悪天候の中、隆正丸の3、8、11、18号船に分乗した73人の中で、8号船の旭市の高橋勝久さん(73)が2・91キロを釣り上げ総合優勝を果たした。(笠原 然朗)
波間を強い風がつくる白いウサギが飛ぶ。時折、激しく降る雨が参加者を悩ませる。
雨中の決戦。8号船のかじを握る芳野幹雄船長がポイントに選んだのは飯岡沖の25~30メートルダチ。他船が10~15メートルの“浅場”で釣る中、“深場”で大物一発に勝負をかけた。
そんな船長の思いに応えたのが優勝した高橋さんだった。
釣り座は左舷胴の間。隣席は釣友の野田市・谷口博さん(71=会社員)。9月に隆正丸で開催されたJGFAヒラメオープン釣り大会に2人で参加。「その時は谷口さんが優勝したので、負けないように頑張りました」。高橋さんの竿が大きく曲がったのは釣り始めて約30分後の午前6時前。「底を45センチ切って、竿をゆっくり上下して誘いました」
最初にコツコツという小さな当たりがあり、グッと竿が入ってからも合わせずやりとりすること約1分。「3人がオマツリして上がってきて、仕掛けを見たら自分のに掛かっていて…」。ヒラメ釣り歴5年で、最大の1匹が優勝魚となった。
元は埼玉県上尾市内で理髪店を隆子夫人(67)と切り盛り。3年前に店を畳んで旭市に移住した。
「女房が海を見ながらコーヒーが飲みたい、と望んだので」
釣りもまたセカンドライフの楽しみ。優勝の喜びは太平洋を望む部屋でコーヒーを飲みながら奥さんと分かち合う。
アサヒビール・アサヒ飲料カップ2018スポニチ「飯岡ヒラメ釣り大会」が10月14日、千葉県飯岡沖で開催され73人が参加。悪天の中、隆正丸の3、8、11、18号船に分乗した参加者たちの奮闘ぶりを特集!
早朝のゴールデンタイム。開始早々に右舷ミヨシで竿が孤を描く。船中第1号を飾ったのは、市川市の榎原進さん(69=会社員)。1キロ級を掲げ「セオリー通りでした。前当たりからの本当たり」。餌を付け替えて送り込むと再び魚信が。昨年同期に開催のJGFA大会では6・15キロの特大を上げて優勝している。この後も順調に釣り続け何と計10匹。数打てば当たるはず…が、型物は不発。入賞を逃し苦笑いしていた。 (18号船)
左舷トモ寄りに並ぶ3人組。トモで釣るとそれを追って2人が竿をしならせる。豊島区内に住み好きな釣りとお酒でつながる、池袋楽釣会の仲良しメンバー。会長は長老でキャリア3年目の柴田広次さん(71=自営業)。1匹目に上げた1.40キロが堂々船別1位に。「マダイのゲストで釣ったけど、専門では“初”ヒラメ」とうれしさもひとしお。トモで10匹上げた谷口英生さん(45=会社員)と、玉木義光さん(53=同)からの「さすが会長!」…この祝福にややテレ気味だった。(18号船)
女性賞獲得の、江東区の箱田佳子さん(54=主婦)は「実は昨年も」。V2達成。しかも釣果は船中トップタイの6匹。隣の席で3匹だったご主人、規雄さん(59=会社員)は「いつもやられてます」。毎月2、3回必ず一緒に船に乗るオシドリ夫婦。「2日ほどの食料が助かります」。佳子さんは喜びの声を主婦らしく結んだ。(11号船)
普段は清楚(せいそ)な癒やし系、釣りとなればド根性を見せる奥さまが奮闘した。川口市の吉田郁恵さん(46=公務員)は強い雨とウネリに耐え、ビショ濡れになりながら10匹を仕留め「気合で乗り切りました」と会心の笑みだ。共に乗船した夫の淳一さん(51=自営業)の7匹を上回る釣果だったが「どんな結果でも夫は釣りの師匠で、尊敬することに変わりないです」。この日の自己最大は1・14キロ。「2キロは欲しかった。また挑戦します」と意欲を見せていた。(3号船)
「釣れなくて焦ったよ」と話すのは新座市の平川耕三さん(82)。雨の中、粘りを見せて上がってみれば2匹。釣らなければならない理由があった。いつも仲良く釣りを楽しんでいた病床の妻、博子さん(76)に魚を見せて元気付けるためだ。「寂しいよ。また一緒に釣りがしたい」。大会終了後、平川さんは愛妻が入院する病院へと向かった。(8号船)
昨年まで本紙で「釣りなでしこ」を連載していた釣りガール、目黒区の野口美和さん(25=会社員)も参戦。「根掛かり防止で、タナを底上1メートルに設定して狙いました」。残念ながら当たりが少なく釣果は1匹。「大物を釣りたかったのに…」と唇をかみしめた。(8号船)