バリバスカップ 小網代(神奈川)深海魚

 バリバスカップ2018スポニチ「深海魚釣り大会」が5月13日、神奈川県小網代の丸十丸から出船した3隻で行われ、32人が参加した。釣れた魚の“珍しさ”を競う大会で、カギイカなどを釣って11ポイントを獲得した葛飾区の大和田義行さん(49=会社員)が優勝した。 (笠原 然朗)

昨年、7月11日から10月1日まで東京・上野の国立科学博物館で開催された特別展「深海2017~最深研究でせまる“生命”と“地球”~」の入場者数は60万人を突破するなど深海ブームを背景に、世界でもおそらく初めての、深海魚を対象にした釣り大会が行われた。
丸十丸の3隻が船を向けたのは東京湾海底谷。最深部は700メートルで海底の断崖、絶壁に棲息する“珍魚”がターゲットだ。
胴突3本バリ、オモリは150号。餌には生きイワシ、サバの切り身などを使う。置き竿で、海底の形状に合わせて小まめに底ダチを取り直しながら釣るのが基本だ。
キンメ、アカムツなどおなじみの高級魚、シマガツオ、オキギスなどの“レア魚”が釣れ上がる中、水深400メートルでカギイカを掛けたのが大和田さんだった。「ほとんど引きませんでした」というイカは、形状や色はスルメに似ているが、長い触腕に隠し持っている“トゲ”がくせもの。
大和田さんは「うっかり触ったら、刺されて染みました」と痛い思いをしたものの、この1匹が5ポイントとなり、ギンメダイ、オキギスと合わせて11ポイント。初代の深海チャンプの座を射止めた。
ジギングが専門で、レンタルタックルで大会に臨んだ。「何が釣れてくるか分からないところが面白いかも」とは大和田さんの深海釣り評だ。
カギイカについて、大会の審査委員を務めた静岡・沼津港深海水族館元館長で“海の手配師”石垣幸二さん(51、写真)は「深海に棲息するイカでめったにお目にかかることはできない」と話していた。

 バリバスカップ2018スポニチ「深海魚釣り大会」が5月13日、神奈川県小網代の丸十丸から出船した3隻で行われ32人が参加した。おそらく世界で初開催の深海釣り大会。参加者たちの奮闘ぶりをどうぞ。(笠原 然朗)

竿、リール、バッテリーなど約30万円の道具を買って大会に臨んだのが葛飾区の高橋英樹さん(48=会社経営)。これまではカワハギなどが中心の釣りで深場は初めて。「何が釣れるか分からないのが魅力」と言っていたが、最初は当たりが遠い。だが中盤になってポイントの高いトウジンとオキアナゴのダブル。着々とポイントを重ねC船の船別1位。“投資”をしたかいがあった!

シマガツオを釣って女性賞を獲得したのが豊島区の渡邉圭以子さん(55=会社員)。スポニチの大会でもマアジ、タチウオ…と参加しているが、アカムツでは船別1位になったことも。シマガツオを釣った時の餌は釣れた小サバの頭を上バリに付けた。「引きも良かったので高ポイントのサメじゃないかとドキドキしましたよ」。普段の釣りでは歓迎されないサメだが望むと釣れない。これも釣りの面白さ。

まるでシーソーゲーム。珍魚を求めて銚子市から参加したのは、宮内雄平さん(52=自営業)と、佐藤富士夫さん(52=同)で、野球少年だった小学校以来の親友。日ごろアカムツやアコウを狙う宮内さんが、磯釣り志向の佐藤さんを「沖釣りに引き込もう」と誘い遠路三浦へ。ユメカサゴで皮切りの佐藤さんを追い、宮内さんはすぐにクロムツで挽回。それを何度か重ねて結局、佐藤さんの競り勝ち。「深海釣りも面白いね」とほほ笑む佐藤さんは船別1位を獲得した。

強烈な引きを慎重なやりとりの末、玉網に収めたのはシマガツオだ。50センチと47センチの一荷を掲げたのは「沖釣りが大好き」な川越市の舟本光伸さん(50=会社員)。この日、ハリス切れ1回、ユメカサゴ1、大サバ(対象外)1匹と、残念ながら成績は振るわなかった。その舟本さんは昨年、茨城・波崎沖の一つテンヤ(PE1号)で11キロのカンダイをゲットしている。自己記録更新は次回に持ち越された。

幼稚園のころから「深海魚が大好き」という厚木市の豊浦ムサシ君(10=小5)は父親の信弘さん(41=会社員)と参加。船釣りは初めてだが、船中第1号となるユメカサゴを釣ったあと2魚種目となるシマガツオを追加。「深海魚は目の形が面白い」と大喜び。そして最後に35センチ級の大型のアカムツを釣り、周りの釣り人から羨望(せんぼう)の視線を集めていた。
大物か?水深400メートルをメタルジグ370グラムで狙っていた川口市の堀田拓さん(28=会社員)は船内の注目を集め、ロッドを曲げてこん身の巻き上げ。「引かないからおかしいなと思った」という言葉通り、上がってきたのは海底に沈んだ漁網。よく見ると小さなカニが付いている。これが貴重なコツノガニで、5ポイント獲得。最後の流しでアカムツを加えて9ポイントで総合2位になった。