大会結果:第91回 都市対抗野球大会

コロナ禍で唯一の全国大王者
Honda 11年ぶり3度目V

Honda(狭山市)がNTT東日本(東京都)を4―1で下し、09年以来11年ぶり3度目の優勝を飾った。1―1の5回1死一、二塁から3番の井上彰吾外野手(29)が、今大会2度目の決勝打となる勝ち越しの右越え3ランを放ち、今大会10打点の活躍で橋戸賞(最優秀選手)を獲得。開田(ひらきだ)成幸監督(41)は、就任1年目で頂点に導いた。

11年ぶり3度目の優勝を果たし歓喜の輪をつくるHondaナイン。スポニチ後援。第91回都市対抗野球大会

決勝3ラン大会10打点井上橋戸賞

5回1死一、二塁、井上は右中間に3ランを放つ

練習、試合…/数々の障害も
例年より、東京ドームは静かだった。だからこそ、甲高く響いた打球音にHondaベンチは沸いた。同点の5回、井上が右越え決勝3ラン。今大会10打点目で橋戸賞と、11年ぶりの頂点につなげた。
「決勝は僕がやってやるという気持ちだった。(本塁打は)入ってくれて本当に良かった」。
都市対抗優勝経験がないまま入社8年目。一時は「自分がいるから弱いんじゃないか」とまで考えた。優勝の瞬間、左翼の守備位置で泣き崩れた。前回優勝した09年の後、2回戦が最高だったチームを振り返り「2回戦の壁を破るのに11年かかった…」と漏らした。
夢を信じる。Hondaスピリットでコロナ禍に立ち向かった。4月13日から5月31日まで全体練習休止。3グループ制で練習した。日本選手権、地方大会も続々と中止。それでも主将の福島は選手に言った。「目標は日本一。都市対抗は絶対できると信じている。チームとして戦おう」。オープン戦でもロッカールームで「日本一」と声を掛け合い、信じた夢を実現させた。

胴上げされる開田成幸監督

09年の優勝以降「強打のHonda」は結果に結びつかなかった。新たな野球を目指し開田新監督、プロ経験のある原井和也、木村龍治両コーチを招へい。強打とつなぐ野球の融合を目指した。四球、進塁打、犠打が増えた「打線」は、準決勝まで2失点のNTT東日本投手陣を攻略し、5試合で29得点。開田監督は「点と点が線でつながる野球を実践できた」と振り返った。

コロナ禍の今季、唯一、行われた全国大会の頂点に立った。3度宙に舞った開田監督は「常勝Hondaをつくり上げていきたい」と新たな夢を掲げた。

桑田に麻段田父の教え生きた
新人朝山 2勝で若獅子賞

若獅子賞のカップを受け取るHonda・朝山

Hondaの朝山が8回3安打1失点で今大会2勝目を挙げ、新人賞に当たる若獅子賞を獲得。スポーツニッポン新聞社・河野俊史社長からトロフィーを贈られ「自分でもビックリ」と喜んだ。

父・憲重さん(55)はPL学園で桑田真澄(元巨人)の2年先輩で、遊撃手として83年夏甲子園を制覇。本田技研(現Honda)でもプレーした。息子には桑田の投球を基に「一番打ちづらいのはアウトロー」と助言。父は都市対抗では93年に補強選手としての準優勝が最高だが、朝山は「父を超えたとは思わない。もう一回優勝して超えたと思えるようにしたい」と話した。