大会結果 6月5日スポニチ紙面

スポニチ後援「第18回果樹王国ひがしねさくらんぼマラソン大会」は2日、山形県東根市の陸上自衛隊神町駐屯地を発着するコースに1万2564人がエントリーして行われた。東北最大級の市民マラソンは、コース上でさくらんぼが提供されるなど「おもてなし」の心があふれるもの。4種目35部門で争われ、メインのハーフマラソン(21・0975㌔)男子は大橋真弥(25=石巻市役所)が1時間5分48秒で、女子は小田恵梨(35=えりちゃんです!)が1時間20分6秒でそれぞれ初の総合優勝を果たした。

大橋 大会記録まであと1秒

男子ハーフ優勝の大橋

<男子ハーフ> 天を仰ぎ、大きく両手を広げてゴールした。気温28度、快晴。真夏のような日差しの中で、宮城の公務員ランナー大橋が強さを発揮した。大会には4度目の出場だった。これまでの結果は4、3、2位。回を重ねるたびに順位を上げ「やっと勝てたのでうれしい」と爽やかに笑った。東農大出身。1、2年時にチームは箱根駅伝に出場したが、自身は走ることはできなかった。3、4年時は予選会で敗退。卒業後は石巻市役所に進み、市民ランナーとして競技を続けてきた。この日は発奮材料もあった。日体大時代に箱根制覇を遂げた矢野圭吾(27=カネボウ)が特別招待選手として出場していた。大橋は「矢野さんと一緒にレースを引っ張った」と併走し、最後は実業団ランナーを振り切ってゴールに飛び込んだ。1時間5分48秒は、大会記録まであと1秒という好タイムだった。社会人4年目を迎え、現在は石巻市役所の東京五輪・パラリンピック推進室に勤務している。大会を制したことで「2019JALホノルルマラソン」(12月)の出場権をゲット。「仕事を調整したい」と早くも年末のレースを視野に入れていた。

 

 

小田 二度目の出場 心身準備万端

女子ハーフ優勝 小田

<女子ハーフ>愛知から来場した小田が、東北の山形で輝いた。気温28度の中でのレースとなったが、男子に混じって積極的な走りを貫いた。「2度目の出場だったので、暑さは覚悟していた」と心身の準備も万端だった。「30歳代の部」に出場し、自身より年下の「18~29歳の部」の選手よりも先に走り切った。「優勝すればJALホノルルマラソン2019に行けると思って走った」と〝勝因〟を明かした。静岡・吉原高時代に陸上部に所属。卒業後は競技から離れたが「(日テレ系の)24時間テレビの芸能人マラソンを見て、また走ってみようと思った」と20代後半から再び走り始めた。現在はパート業をしながら月間170㌔を走り、各地のレースに出場している。この日は元実業団ランナーの夫・立之(51)も10㌔の部に出場。夫婦で奮闘し、そろって笑みを浮かべた。表彰式ではスポニチ盾をゲット。「愛知から車で来た。出場してよかった」とインタビューで話し、会場の拍手を浴びた。

 

 

 

10㌔の部で優勝した男子・斎藤と女子・本間

教え子の前で斉藤見事結果

<男子10㌔> 福島・郡山から出場した斉藤将輝(25=セントラル)が32分35秒で初V。去年はハーフの部に出場し、2度目の今回は10㌔の部にエントリー。普段はセントラルスポーツでインストラクターをしており、県内の会員35人とともに参戦した。〝教え子〟たちの前で見事に結果を出し「レベルが高くて最後までドキドキした」とレースを振り返った。

本間満足初V

<女子10㌔>地元・東根市の本間未来(23=カーブス)が38分13秒で制した。一昨年は5㌔の部で優勝し、10㌔の部では昨年3位。中学1年で陸上を始め、現在は健康体操教室「カーブス」のインストラクターとして働いている。「優勝だけを狙っていた。自分のペースを維持することを考えていたし、タイムも悪くないと思う」と笑みを浮かべた。

 

5㌔優勝 男子・渡辺 女子・五十嵐

<男子5㌔>優勝渡辺昴(28=神町自衛隊MP) 涼しい時間帯に走ることができた。来年は20代最後になるので10㌔の部に出場したい。

<女子5㌔>優勝五十嵐菜央(22=福島県立医大) 山形で記録会があり、併せて出場した。初出場し暑かったが、勝ててうれしかった。

 

今年は長女と‼稲垣家〝4連覇〟

<親子ファミリー3㌔>東京都江東区から参加した稲垣晃二(34)、美翔(みんと、7)が初優勝した=写真。昨年まで兄・翔馴(かいん)とのペアで3連覇し、今年は長女とのコンビで頂点に立った。父は「娘はこれで自信をつけてくれたと思う」と手応え。「うれしかった」と言う美翔は表彰式で賞状や副賞などを受け取り、親子そろって笑顔で写真撮影を行った。

土田市長あいさつ 〝給スイーツ〟大好評

あいさつする土田市長

東根市の土田正剛市長(75)は今年も大会実行委員会会長として参加者を歓迎。前夜祭やレース当日「さくらんぼ生産量日本一、さくらんぼの王様〝佐藤錦〟発祥の地へようこそお出でいただきました。おもてなしの心を持って皆さまを歓迎します」と話した。東根市が日体大と協定を結んだことを報告。さらに参加者の玄関口となる、さくらんぼ東根駅での熱烈な歓送迎など2000人以上のボランティアが奮闘した。ランニングポリスも出動したほか沿道の声援やランナーに果物を提供する〝給スイーツ〟などの企画は好評だった。

 

 

ゲストランナー 千葉さん14度目 次晴氏は8度目

03年世界選手権パリ大会女子マラソン銅メダルの千葉真子さん(42)、98年長野五輪スキー日本代表の荻原次晴氏(49)がゲストとして登場した。14度目の参加となった千葉さんは「ただいま!千葉ちゃんです」と声を張り上げ、レースでは10㌔の部で後方から走った。荻原氏は8年連続8度目となり、軽妙なトークとハイタッチでランナーを鼓舞。「東根は第二のふるさと」と感謝した。

〝金さんツアー〟大盛況

スペシャルゲストとしてプロランニングコーチの金哲彦氏(55)が6年連続で参加し、大会を盛り上げた。特別企画「2泊3日限定 金哲彦さんと行くさくらんぼマラソン大会ツアー」を実施。5月31日にランニングクリニックを行ったほか、さくらんぼ狩りや早朝ランニングなどで参加者と触れ合った。大会当日はハーフマラソンに出場。「おもてなし日本一の大会」と手厚いもてなしに感謝した。

(左から)荻原次晴氏、千葉真子氏、金哲彦氏

ミズノブースで「タイムに応じた」シューズのフィッティング

発着地の陸上自衛隊神町駐屯地の敷地内には、さくらんぼを使った名産やグルメなどの飲食や物販ブースが設けられた。特別協賛のミズノのブース=写真=では、「ウェーブライダー」などのランニングシューズが並べられた。同社スポーツ営業本部の木村哲久氏は「タイムや体型によって、シューズの重さや靴底の厚さが変わってくる」と話す。訪れたランナーはタイムごとに異なるタイプのシューズを比べて、フィッティングしていた。スタッフからアドバイスを受けた石関咲子さんは「自分のタイムに応じてシューズを選んでもらった。フィット感もあって、いいです」と話していた。