大会結果スポニチ紙面

2019スポニチいわて奥州きらめきマラソンが19日、岩手県奥州市の前沢いきいきスポーツランド発着のコースに6123人がエントリーして行われた。3回目を迎えた大会のフルマラソン男子は清水翔一朗(32=TEAMアテルイ)が2時間29分43秒で、女子は下田翔子(32)が2時間48分40秒でともに初優勝を飾った。(槇野 泉)

フルマラソン 男子・清水、女子・下田が圧倒初V

1番のポーズでゴールする清水

前半から飛ばす <フル男子>右腕を大きく掲げ、心からの安どの表情を見せながらゴールを駆け抜けた。強風が吹き付ける中、清水が2位に6分52秒差をつけて圧勝。8㌔地点から飛び出した一人旅を「優勝は狙っていました。きつかった。後半が向かい風になるので前半から飛ばしました」と振り返った。一関市在住だが、奥州市を拠点とするTEAMアテルイに所属し、奥州市の医療法人・啓愛会に勤務している。第1回大会は3位、昨年の第2回は2位。「周囲の期待がすごかった。プレッシャーはありました。勝てて良かった」。この日も職場の前を走り、沿道の同僚や妻、2歳半の娘の声援を力に変えた。 鳥取県出身で東農大陸上部では駅伝などに出場したが、箱根駅伝は故障で出場できなかった。卒業後は一関市の実業団で競技を続けたが一年で廃部。それでも「お世話になった人もでき、岩手県で走り続けたい」との思いで今がある。 昨年は岩手県選手権の1万㍍で優勝、東北選手権3位となるなどトラック種目を得意としており、フルマラソンの優勝は初。「これからもトラック競技を頑張り、強いおじさんを目指したい。それからマラソンもやってみたい。2時間21分を切り、エリート枠で東京マラソン出場を狙いたい」と夢を語った。

大会新記録で優勝した下田

独走10分43秒差 <フル女子>両腕を大きく広げて喜びを表現した。初出場の下田が貫禄を見せつけた。10㌔付近で先頭に立ち独走、大会記録を9分10秒更新し、2位にも10分43秒の大差をつける快走だ。 「48分台でいきたいと、新記録を狙っていました。向かい風がきつく、何とかです。2位が多かったので、優勝はやはりいいですね」 中学から陸上をはじめ、山口・西京高卒業後は豊田自動織機に6年在籍。08年には全日本実業団対抗女子駅伝で優勝、11年東京マラソンでは7位に入った。現在は神奈川県川崎市に住み保育士をしている。4年前から再び走り始め、17年の水戸黄門漫遊マラソンで優勝後はフルマラソンにはまり、今年はこれで4レース目。昨年2月に結婚し、姓は宮崎から下田に変わったが、復帰後2度目の優勝でも実力を発揮した。 この日は所属は違うものの、豊田自動織機時代に共に故小出義雄氏の指導を受けた那須川さんとも再会した。「先輩がおられ、テンションが上がりました。当時を思い出しました」。共通の恩師・小出氏の口癖は「かけっこが大好き」だった。今後は家庭生活を優先し「少し休みますが、またいつか走りたい」と話す。名将の教え子は、やはり楽しそうだった。

 

村上が2週連続優勝

<10㌔男子>ラスト1㌔でトップに立った村上が、2位を9秒差で退け、初出場で優勝した。「後半我慢して1位になりたいと思っていたので良かった。頑張れました」と前週の岩手山ろくファミリーマラソンのハーフマラソンに続く優勝に目を細めた。二戸市在住の24歳は盛岡第三高で陸上、慶大でクロスカントリースキー部に所属、会社員となった現在は地元ランニングクラブで汗を流している。次戦は6月の男鹿駅伝でその後については「また10㌔かハーフで優勝したい」と前を見据えた。

 

50歳佐藤「今の方が・・・」

<10㌔女子>初出場の50歳・佐藤が栄冠を勝ち取った。「うれしいです。優勝は気にしていなかった。途中で男性ランナーが声をかけ、引っ張ってくれたのが良かった」と振り返った。仙台市在住で中学から大学仙台大まで陸上部だが、会社員となって走り始めたのはわずか5年前。今年は10㌔を中心に既に10レースに出場し、総合6回、年代別で1回優勝のスーパーウーマンだ。今週末には錦秋湖マラソンの10㌔に出場予定で「学生時代よりも今の方が速いかも」と充実の笑みを浮かべた。

 

上原親子初参戦今年4回目のV<2㌔家族ペア>さいたま市から参加した上原親子が初出場で初優勝。2人は毎月旅行を兼ね各地の子どもまたは親子レースに出場、今年は10レースに出場し優勝は4回目。小学3年で幼稚園年長から走り始めた将(まさる)は「うれしいです。景色が良くてゴールが近く見えた。普段は林でゆっくり走ったりダッシュしたりして練習しています」とにっこり。公務員の父・航(わたる)は「岩手は震災の時に仕事で来たこともあり思い入れのある県。来られて良かった」と語った。

 

大会会長の小沢奥州市長「続けていくことに意義」

ランナーを激励する小沢昌記奥州市長.

大会会長の小沢昌記奥州市長は日本陸連の公認審判員資格を持ち、フルマラソンのスターターとして大会を盛り上げた。開会式や表彰式でもフル回転。高低差20㍍以内で風光明びなコースの大会はランニングポータルサイトの「全国ランニング大会100撰」にも選出されるなど好評で「今回は過去最高のエントリーを頂きましたし、少し風はあるものの好天にも恵まれ、素晴らしい大会になったのでは。今後も続けていくことに意義があります」と感想を語った。給水所では奥州市の特産品「岩谷堂羊羹(ようかん)」や江刺りんごなども振る舞われた。

 

ゲストランナーに〝山の神〟柏原氏登場

奥州アンバサダー那須川瑞穂さんとランナーにエール

東洋大時代に箱根駅伝で活躍、3度の総合優勝を果たし〝山の神〟と呼ばれた柏原竜二氏(29=富士通)がゲストランナーとして参加、地元奥州市出身で09年東京マラソン優勝のアンバサダー・那須川瑞穂さん(39)とともにランナーをもり立てた=写真。初参加の柏原氏は「奧州は空気もおいしく田園風景が広がり素晴らしかった。コースもフラットでランナーは走りやすかったのでは」とコメント。3年連続の大役を務めた那須川さんは「県外からも多くの方に来ていただき、楽しんでいただけて本当に良かった」と笑顔を見せた。

メイン会場のミズノブース盛況

『県南レジェンドランナーズ10』PR

 今大会に特別協賛したミズノはメイン会場にブースを展開。岩手県が実施、ミズノがサポートしている「県南レジェンドランナーズ10」のPRを行った=写真。 岩手県南で開催されるマラソン9大会と3月に台湾で行われた台北国道マラソンの出場&完走回数に応じて特典がつく企画で、4大会以上でシューレース、6大会以上で記念Tシャツ、8大会以上で特別Tシャツが贈られる。各大会会場とウェブサイトでも受け付けている。 レースプロデューサーの村尾隆介さんは「去年は1263人の登録で、今年は3開催目の今大会時点で750人と好調です。1500人はいくのでは。ブースは登録者の憩いの場にもなっています」と手応えを口にした。

 

 

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