大会結果スポニチ記事・紙面

男子・上條、女子・藤沢、盲人の部・勝丸V

2万252人がエントリーして行われ、男子フルマラソンは上條記男(35=埼玉)が2時間254分26秒で初優勝した。女子同は藤沢舞(44=エクセルAC)が2時間46分39秒で2年連続3度目のV。盲人の部男子フルマラソンB―3(弱視)は勝丸真至(38=ウインドラン)が頂点に立った。

36キロ地点で一気

<男子フルマラソン>前がつかえてスタートで出遅れた上條は、20キロ地点で先頭集団に追いつき、36キロ地点で一気に仕掛けた。昨年度まで実業団に在籍。愛知製鋼、サンベルクスなどで12回のニューイヤー駅伝出場を誇る。35歳の節目を迎え「違う分野で挑戦したい」と、4月に損保会社に転職。環境を変えた直後のレースで結果を出した。実業団時代から大会には常に妻・幸代さん(37)が応援に駆け付けており「毎回同行してくれる妻の前で良い成績が残せて良かった」と笑顔を見せた。

フルマラソン男子で優勝した上條

盲人の部男子フルマラソンは勝丸

 勝丸真至(38=ウインドラン)が伴走者のないB―3(弱視)で優勝した。自己ベストには約6分届かなかったが「向かい風の中でベストの走り。道幅が広く、給水所では係の方が水を渡してくれたので安心して走れました」と笑顔を見せた。 中学、高校時代は陸上部に所属し、800㍍や1500㍍など中距離が主戦場。当時から弱視だったが、視力は0・5あり、スノーボードやロードバイクにものめり込んだ。30歳過から急激に視力が低下。マラソンを始めたきっかけはダイエットで、11年の競技開始から約10㌔やせた。 現在は針灸、あん摩マッサージ指圧師を目指して学校に通い、駒沢公園や無料開放されている陸上競技場などで月間300~350㌔を走り込む。2時間35分切りが出場資格となる福岡国際マラソンを目標に、充実した日々が続く。

フルマラソン男子B-3を制した勝丸

重圧何の!!連覇

<女子フルマラソン>連覇を達成した藤沢は20キロ過ぎからトップに立って独走。「去年優勝したプレッシャーもあったけど、勝つことができて良かった」と安どの表情を見せた。主戦場は100キロで、昨年の世界選手権(クロアチア)では銅メダルを獲得。今大会は調整することなく「練習の一環」として結果を残し、「来年もまた戻ってきて優勝したいです」と3連覇を宣言した。

フルマラソン女子は藤沢が連覇を達成

女優でヨガインストラクター 松本莉緒が伴走

○…女優でヨガインストラクターの松本莉緒(36)が盲人ランナーの伴走を務めた。「めったに体験できることじゃない。誰かのために走るということをダイレクトに感じました」と笑顔。女子5キロをともに走った工藤星奈さん(18)とは1月から練習を重ね、ヨガにも取り組んだという。ゴール後には手作りの鶴のネックレスをプレゼントし「ディズニーの話をしたり一緒に歌ったり、本当に明るい子でした」と思い出を語った。

女優・松本莉緒がランナーにエールを送る
サイン会でファンと触れ合う有森裕子さん

19回連続出場・有森さん「全力で/皆さんを応援」

○…女子マラソンでバルセロナ五輪銀メダル、アトランタ五輪銅メダルの有森裕子さん(52)が19回連続でゲスト出場=写真。「チャリティアンバサダー」としてフルマラソンで盲人ランナーを10キロ付近まで伴走し、その後はコース上でランナーとハイタッチ。開会セレモニーでは「全力で皆さんを応援させていただく。毎回、私もこの大会から多くを学ばせていただいている」と話し、参加者から拍手を浴びた。

パラスポーツを三菱商事PR

○…5大会連続でオフィシャルパートナー(シルバー)となった三菱商事はブースを展開。ミニボッチャゲームを行い、多くの参加者がパラスポーツを体験した。ブースでは、14年10月に設立した障がい者スポーツ応援プロジェクト「DREAM AS ONE.(ドリーム アズ ワン)」の取り組みをPR。また、社員らがボランティアとして給水活動を行ったほか、伴走者としても大会に参加し「パラスポーツを多くの人に知ってもらいたい」という思いを多くの人に届けた。

○…三菱商事の田中仁郎氏(55)が国際盲人マラソン(フルマラン男子)の部で伴走を務め、田内昭一(KBRC)をゴールに導いた。マラソン歴は約20年。週間走行距離は約150㌔で「責任感と緊張感を覚える」と役目を果たして笑みを浮かべた。田内は「練習不足で脚が動かなかった」と悔しさを見せたが、パートナーを務めた田中さんに感謝していた。

完走した田内(左)と伴走した田中さん

 

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男子10㍄

姉妹レースのシドニー・ランニングフェスティバルから派遣されたニック・ハーマン(23=オーストラリア)が大会新記録で優勝した。パース在住で、立川シティハーフマラソンに出場した15年以来2度目の来日。幼少期からクリケット、オーストラリアンフットボールなどで鍛え、空手は黒帯の有段者だ。ランニングを本格的に始めたのは6年前で「日本の選手は強いので勝てると思っていなかった。またかすみがうらに来て次はフルマラソンを走りたい」と語った。

男子10㍄で優勝したハーマン(中)

 

伊藤(中)が男子5㌔を制した

男子5㌔

初出場の伊藤裕紀(21=茨城大)が〝ホームコース〟で頂点に立った。茨城大の陸上部に所属し、専門の1500㍍の自己ベストは4分6秒。阿見キャンパスに通い、普段はこの日の会場となったJ:COMフィールド土浦で練習を積む。農学部で道路景観の研究をしており「湖沿いのコースは景観が良く、気分よく走れた」と振り返った。

女子10㍄

昨年まで5㌔の部で5連覇した松本恭子(48)が初挑戦の10㍄で初優勝。実業団ランナーを抑え「上出来。そうそうたるメンバーで諦めていたので勝ててうれしい」とはにかんだ。10㌔地点からノーリツの小﨑と一騎打ちになり、13㌔でスパートをかけて「必死に逃げ切りました」。長男の薫(19)は今春から専修大に進学。「箱根に出て欲しいです。将来は息子と大きな大会でハーフを走りたい」と青写真を描いた。

女子10㍄を優勝した松本(中)

大学1年の山本が女子5㌔V

女子5㌔

山本侑果(都立大1年)が3度目の出場で初優勝。「受験明けで不安でした」という中、序盤を抑え気味に入って勝負に徹した。中学、高校と陸上部。大学での入部は「迷っていた」というが「楽しかったのでまたやろうかな」と心境に変化も。将来はトライアスロンに挑戦したいといい「まずは色んなマラソンに参加して練習したい」と意気込んだ。

ミス日本が声援送った

○…2019年度ミス日本グランプリ&ミス日本ミススポーツの度会亜衣子さん(21)が大会のスペシャルサポーターとして起用され、参加者を魅了した。前夜祭では美しいドレス姿を披露し、レース当日はスポーツウエアで登場。医学を学ぶ東大3年生は「私は愛知県出身で、茨城には初めて来ました」と喜びの表情。スタート地点では「心を込めて応援させていただきます」と大きく手を振り、ランナーを見送った。

ミス日本の渡会さんは手を振って声援を送る

日立建機がもり立てた

地元企業で大会オフィシャルパートナー(プラチナ)の日立建機には大会前日カンボジアからの招待選手が同社土浦工場に訪れた。ヴット・ソカウとチュト・スレイチアンの2人は工場内に新設されたソリューションプラザでVR体験AHS運転シミュレーションを体験した後、場内の油圧ショベルの組み立て工程を見学し、はじめて見るものばかりのようで興奮した様子だった。 レース当日は多くの社員が選手として出場したほか土浦工場前で今年入社の社員中心にボランティアとして給水活動。自社機器をモチーフにしたかぶり物や地域住民と協力し、和太鼓演奏でランナーをもり立てたほかミス日本の渡会さんも給水活動やランナーとハイタッチするなどした。田淵道文執行役専務は「オフィシャルパートナーをさせていただき光栄です。今後も地元企業としてかすみがうらマラソン兼国際盲人マラソン、土浦市、かすみがうら市の発展のために努力していきます」と力強く語り、会社をを挙げてのバックアップを約束した。

○…かすみがうらマラソンはシドニー・ランニング・フェスティバル、カンボジアのアンコールワット国際ハーフマラソンの姉妹レース。今年のシドニーは9月15日、アンコールワット国際ハーフは12月1日に開催される。今大会には海外招待選手として、カンボジアのヴット・ソカウが男子5㌔の部、チュト・スレイチアンが女子5㌔の部に出場。カンボジアの2人は「参加できてうれしい」と語った。

カンボジアのヴット・ソカウ(右)とチュト・スレイチアン

茨城トヨペット車両提供

大会は「甦(よみがえ)れ、霞ケ浦、水はスポーツの源」、「体験する福祉・ノーマライゼーションの実践」をテーマにしており、随所に「環境にやさしい大会」を印象づける場面が見られた。 茨城トヨペットは今年も車両提供をして大会をサポート。計時用にプリウスなどのハイブリット車のほか、審判長車に水素だけで走る自動車「MIRAI」を提供するなど、運営を大いに盛り上げた。 また、AEDが各所に配置され、緊急事態に備えた。さらに、ゴール地点では地元消防局の協力で担架が準備された。4000人超のボランティアらスタッフも総出で万全の態勢を整えて大会に臨み、自身の限界に挑んだランナーを強力にバックアップした。

審判長車に提供された水素自動車「MIRAI」

コースキャストが活躍

新たな試みとしてコース上で交通整理と応援をしてもらうボランティア「コースキャスト」(計9の企業団体150人)が沿道を盛り上げた。土浦市の筑波研究学園専門学校(TIST)のメンバーはそろいのジャンパー姿でランナーを鼓舞。「頑張ってください!応援しています」「完全燃焼」と書かれた応援幕を手に応援。引率者は「生徒が声をからしているのを見て、よかったと思った」と満足そうに話した。同校は87年創設。「産学協同」を趣旨として、専門的職業を目指す人材育成の高等教育機関として知られている。

筑波研究学園専門学校の生徒が全面協力

 

◆ドリンク 大会オフィシャルパートナー(ブロンズ)の第一三共ヘルスケアの主力栄養ドリンク「リゲイン」がランナーの疲労回復をアシスト。ゴール後のフィニッシャーズエリアで「リゲイン」が手渡された。

◆ランニングポリス 走りながら警備するランニングポリスが人参加。土浦署のメンバーが5チームに分かれて8㌔ずつ走り、ランナーの安全を確保した。

土浦署のランニングポリスたち

◆県民球団 ゴール手前ではプロ野球独立リーグ、ルートインBCリーグ「茨城アストロプラネッツ」の公式パフォーマンスチーム「ベガスダンサーズ」のメンバー8人が華麗なダンスを披露。リーダーは「野球もマラソンも同じスポーツ。皆さん無事にゴールしてほしい」とエール。

◆ランナーズヴィレッジ 土浦まちなか元気市「かすみがうらマラソン ランナーズ・ヴィレッジ」は大盛況。ランナーはもちろん、応援の家族や友人たちが会場の「川口ショッピングモール505」につめかけていた。

◆グルメマラソン「土浦の味を食べ尽くそう!」をキャッチフレーズに初開催。ランナーズグルメ選としてカフェ「嬉輪(きりん)」など店舗で実施。ランナー特典が用意された。

◆スポニチ友好大会 スポニチマラソンサミット友好大会である三浦国際市民マラソン、しまだ大井川マラソンもブースを展開して、各地の名産をPRした。「三浦」はトロちまき(300円)などを販売し、「しまだ」は島田茶を提供した。