大会結果スポニチ記事

2019年3月5日付 見開き特集紙面

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沖守連覇!三浦の神だ

国内唯一のホノルルマラソン姉妹レース「第37回2019三浦国際市民マラソン」は3日、1万4095人(5キロ=3771人、ハーフマラソン=1万47人、キッズビーチラン=277人)が参加して行われた。ハーフマラソン男子は序盤からのリードを広げた沖守怜(26=サンベルクス)が1時間6分52秒で2連覇を達成した。同女子は前回の5キロ女王の吉村玲美(18=白鵬女高3年)がハーフ初挑戦ながら1時間17分18秒のタイムで制した。大会後の抽選でハーフマラソン完走者から3人が「第47回JALホノルルマラソン」に招待された。

 

同日引退 友の分まで

【ハーフマラソン男子】降りしきる雨の中、沖守が貫禄の走りで2連覇を果たした。スタート時の気温は4.1度。「寒いのは苦手」と不安もあったが、2位を1分以上も引き離す快走。「単独走になるのは分かっていた。後半のアップダウンを我慢すれば勝てると思ってスタートし、そのプランを完遂できた」と顔をほころばせた。
前回大会から約2分もタイムを縮めたが、満足はしていない。序盤は体が動き、10キロ通過時には「大会新を狙える」と手応えもあった。しかし、過酷なコンディションに体力を奪われた。後半は想像以上にペースが上がらず「正直、キツかったところもあった」。十分に積んできた練習を信じ、平常心で黙々と足を前に運び続けた。
良きライバルへの思いも背負っていた。同日に行われた東京マラソンで日立物流の田口大貴(27)が引退。大学時代は沖守が国学院大、田口が早大のエースとしてしのぎを削った。今でも定期的に会う友人とはLINEで「会場は違うけど頑張ろう」と励まし合い、レースを迎えた。
「引退を意識する年齢になったと実感する。競技を続けられること、そして会社に感謝しつつ一年一年を過ごさないといけない」
所属のサンベルクスは今年のニューイヤー駅伝の出場を逃した。次のターゲットは来年元日のニューイヤー駅伝出場だ。そのためにも「春のトラックシーズンで結果を出したい」と意気込む。もちろん来年の三浦国際市民マラソンにもエントリー予定。「3連覇を狙います」と笑顔でのV宣言で会場を後にした。 (古田土 恵介)

♤沖守 怜(おきもり・さとし)1992年(平4)5月24日生まれ、大阪市出身の26歳。大塚高―国学院大。卒業後はSGホールディングスグループに所属し、昨年1月にサンベルクスへ移籍。自己ベストは20キロ59分37秒。5000メートル13分57秒51。趣味はスポーツ観戦で、好きな球団は阪神。1メートル75、52キロ。

吉村初V JK有終

【ハーフマラソン女子】ハーフ初挑戦の吉村が、素質の高さを見せつけた。号砲からトップに立つと折り返しの時点でほぼ独り旅。2位に4分3秒差をつけてのフィニッシュだった。「男子の選手がいっぱいいたので、ついていきました」。そうレースを振り返った18歳は「優勝はうれしいし、楽しかったです」と笑顔を見せた。レースはあいにくの雨。前半の厳しい上り坂、後半の激しい向かい風にも負けないパワフルな走りで優勝した。

卒業式を欠席し激走

昨年6月に3000㍍障害で日本高校記録10分7秒48を叩き出した実力者。中学ではバスケットボール部に所属していたが、校内のマラソン大会で1位となり、走る楽しさを知った。陸上経験者の父・文克さんに競技転向の意思を伝え、「やるなら強いところで」と背中を押され、強豪の白鵬女高へと進んだ。「アドレナリンが出ていた」という昨年の全国高校総体では1500メートル6位、3000メートル7位。そしてハーフマラソン初挑戦の今回、いきなり好記録を出した。底知れない才能だ。
くしくも、この日は高校の卒業式だった。“高校最後の日”を卒業式でなくレースで終え、「後悔はないです」と笑った。卒業後は大東大に進学し、5000メートル、1万メートルを中心に、さらなる飛躍を目指す。「高校ではジャパンのユニホームを着たことがない。個人としては世界を目指し、チームとしては大学女子駅伝で日本一」と目標を語った。新女王が、三浦から新たな一歩を踏み出す。 (大和 弘明)

♡吉村 玲美(よしむら・れいみ)2000年(平12)4月22日生まれ、神奈川県茅ケ崎市出身の18歳。松浪小―浜須賀中。特技はギターで、高校の送別会で後輩たちにロックバンド「クリープハイプ」の「二十九、三十」を演奏。1メートル60、47キロ。

(東洋大3年小室、圧巻の走り) <男子5キロ>駅伝で名をはせる名門大学の力を見せた。「寒く、風もあって天候は良くなかったが楽しく走れた」という東洋大3年の小室翼が初出場初優勝。「勝てるだろうと思っていた」と笑顔で振り返った。1キロ3分前後のペースで走り、3キロ地点で2位以下が離れるとスピードアップし、トップでゴールテープを切った。過去3年は箱根駅伝に出場できていない。「次の箱根駅伝がラストチャンス。必ず走って優勝に貢献したい」と先を見据えた。

(地元の意地、残り200メートル逆転) <女子5キロ>三浦学苑高1年の長峯野々花(16)が、鮮やかな逆転優勝を飾った。最後の200メートルまで先頭の下里の後ろにつけ、ラストスパートで抜き去った。タイムは2位と2秒差の17分2秒。終盤の走りを課題として取り組んできただけに、「凄い気持ちよくて、楽しかった」と実感を込めた。昨年11月の東日本女子駅伝では神奈川の7区を任され、区間4位の力走。「三浦学苑としては(駅伝で)都大路、個人ではインターハイに出たい」と目標を口にした。