スポニチ ’20年8月13日付
キハダ 密 嫌った⁉
バリバスカップ2020「スポニチ相模湾マグロ釣り大会」が10日、神奈川県茅ケ崎・沖右衛門丸、平塚・庄三郎丸で開催された。6隻に分乗した参加者は82人。午前6時に出船し納竿まで6時間以上、相模湾内でマグロの群れを探すが、見つからず釣果はゼロに終わった。 (笠原 然朗)
大物ロマン次章へ持ち越し
スポニチの日報欄に「キハダ」の文字が初めて掲載されたのは2010年(平22)。前年には相模湾内への回遊が認められており、以来、真夏の釣り物として多くのファンを集めてきた。
新型コロナウイルスの感染拡大で大会開催も危ぶまれたが、受け付け時は密を避け、参加者全員に検温を実施。表彰式は行わず特別協賛社のモーリス、荒井一郎社長のあいさつなどはオンライン上で行うなどの対策を取って迎えた当日。マグロも人間の密を嫌ったようだ。
沖右衛門丸5号船の木村康弘船長が船を走らせていた時間は約7時間。距離にして120キロは優に超えていたはずだ。庄三郎丸17号船の後藤久船長も「釣りができたのは正味30分」。水鳥もいない。跳ねもない。相模湾を代表する凄腕船長たちにとっても、最新機器やあらゆる情報を駆使した“マグロ捜索”は困難を極めた。
近年の気候変動で海水温が上昇。台風とマグロはセットで列島近海を移動する。昨年は9月下旬になって台風の来襲と“歩調”を合わせるかのように50キロ、60キロ超の大物も上がっている。
マグロが釣れ始めるXデーがいつなのか?大物ロマンは次章へ持ち越しとなった。
重なった天候不順が影響か
APCの目
8月1日、相模湾でオキアミ餌が解禁になったが、10日たっても様子がいつもと違う。7月末まで続いた長梅雨と魚たちに活性をもたらす台風の発生遅れ。これらが重なった天候不順が影響しているようだ。
沖右衛門丸3号船は相模湾を南下したが、魚の跳ねがない。キャビンに電気ショッカーの準備をした木村研二船長は、双眼鏡を手に魚影を探すが浮かない表情。南下するほど低下する水温に悪戦苦闘なのだ。対象のキハダ、カツオは高水温を好む魚。26~28度と高いほど期待が持てる。23度台の潮が沖に出るほど22↓20度と下がる傾向。元に戻り26度台の水域を探し当てたのだが…。
この相模湾のキハダ大会は、大物志向のファンに大人気のターゲット。だから集客率は常に100%以上。例年、解禁後の第1週に開催してきたが、オキアミの味を覚えたてにもかかわらず釣果は出ていた。ところが今季は一足先に開幕した、イワシ餌の泳がせで顔を見せたのは7月半ば。そして梅雨明けと同時に少しずつ型を見るようになった。いつも早めに釣れだす庄三郎丸のルアー船も、釣れるのは今のところシイラばかりだ。とはいえ、泳がせ釣りで釣れるということは、魚の群れがすぐ近くまで来ている証拠で期待大。オキアミの味さえ覚えてくれれば、例年並みの爆釣も夢ではないはず。魚の方も様子見状態か。食いだせばきっと11月ごろまで釣れ続く魚。そうなるのも時間の問題とみている。 (林 悠二)