7月26日付 スポニチ紙面

JFE東日本 初王者!

<JFE東日本・トヨタ自動車>初優勝に歓喜のJFE東日本ナイン

JFE東日本(千葉市)がトヨタ自動車(豊田市)を6―4で下し、悲願の初優勝を飾った。同点の4回、今川優馬外野手(22)らルーキートリオの適時打で勝ち越すと、6―4の7回2死二、三塁から登板した守護神・須田幸太投手(32)が2回1/3をパーフェクト救援。今大会の全5試合に登板し、4勝を挙げた元DeNAの右腕が橋戸賞(最優秀選手)に輝いた。

古巣で有言実行 元DeNAプロ経験者初・須田

9回を3者連続で三振で締め優勝、両手を挙げて喜ぶ須田

激闘を終えたナインの手で須田が3度宙を舞った。東京ドームの天井が少しだけ近づく至福の瞬間だった。
「(古巣復帰)1年目でまさか優勝なんて。プロ、大学、高校を通じて一番気持ちが乗っていた」。早大、JFE東日本を経てDeNAに入団し通算16勝。17年ソフトバンクとの日本シリーズ第1戦に登板し、3番手で3者凡退に斬った時より充実感は勝っていた。
2点差の7回2死二、三塁と一打同点のピンチで登板すると、多木を三ゴロに抑えてガッツポーズ。8回2死では早大の同期・細山田を迎えたが「絶対打ち取ってやる」と遊ゴロに封じた。最終回も3者連続三振と圧巻の内容で「須田劇場」の幕を下ろした。チームの5試合全てに救援登板し、計14回を17奪三振、防御率0・64で4勝を挙げ、文句なしの橋戸賞。元プロ選手が社会人最高峰の栄誉を獲得するのは初めての快挙だった。
Hondaの補強選手として都市対抗を制した09年大会決勝、相手はトヨタ自動車で最後は早大の3年先輩・佐竹と投げ合った。「あの時も2点差(4―2)。今度も負けたくない。ただ今度は自分のチーム。感無量です」。DeNAを戦力外となり古巣に戻った今年2月に「僕の役目はチームを優勝に導くこと。橋戸賞を獲りたい」と抱負を口にした。まさに有言実行の投球。「僕は短期決戦が大好き。ただこの状態で1年間戦うプロは厳しい」と未練もない。
1万5000人の応援団の大歓声が一段落した表彰式後。須田は社会人野球の今後について触れた。「この13日間、大人でも熱くなる大会だと皆さんも分かってくれたと思います。今後も伝えていきたい」。豊富な経験を通じて輝きを増した右腕。今秋の日本選手権まで一時の休息を経て、マウンドに立つ。

♠須田 幸太(すだ・こうた)1986年(昭61)7月31日生まれ、茨城県出身の32歳。土浦湖北から早大を経てJFE東日本入社。10年ドラフト1位で横浜(現DeNA)入りした。プロ8年間で通算166試合に登板し16勝19敗、防御率4.81。今年から古巣に復帰した。1メートル76、72キロ。右投げ右打ち。

◆JFE東日本 2003年(平15)設立。資本金2396億円、売上高2兆8306億円。鉄鋼業が主体。本社は東京都千代田区内幸町2の2の3。東日本製鉄所(千葉地区)は千葉市中央区川崎町1番地。北野嘉久社長。72年野球部創部。OBに元巨人・川辺忠義、元阪神・藤田太陽、オリックス・後藤光尊コーチら

 

今川、峯本、岡田 新人トリオ躍動

JFE東日本の新人トリオが大一番で結果を残した。同点に追いつかれた4回に今川、峯本が連続適時打を放つと、岡田も遊撃へ適時内野安打。この回の全4得点を叩き出した。峯本は「今川が打ったので、俺が打てばいい流れになると思って打席に入った。平山快も含め新人4人で、俺たちで優勝させようと話し合っていた」と最高の笑顔で話した。

落合監督の攻撃野球 先発全員安打で「体現」

落合成紀監督の目にはゲームセットを待たずに涙が浮かんでいた。「選手たちが一戦ごとにたくましく堂々とプレーしている姿に勇気づけられ、ここまで来た」。就任1年目で黒獅子旗を手にした。決勝戦は先発全員安打。攻撃野球を掲げ「それを体現してくれた。令和に変わって新しい野球の誕生になる」とチームの成長に胸を張った。「(大会で)5回勝って日本一」の意味で背番号は51。大会中に37歳の誕生日を迎えた青年監督は見事に成し遂げた。

「若獅子賞」に今川、峯本、岡

スポーツニッポン新聞社・河野俊史社長(左)から若獅子賞のトロフィーを受け取る今川

新人賞にあたる「若獅子賞」にはJFE東日本の今川、峯本、日立製作所の岡の3選手が選ばれ、スポーツニッポン新聞社・河野俊史社長からトロフィーが贈られた。今川、峯本は2、3番打者として好機に勝負強さを発揮して優勝に大きく貢献。今川は「若獅子賞までもらえて、最高に楽しい大会でした」と大応援団と喜びを分かち合っていた。

◇第90回都市対抗野球表彰選手◇

▽橋戸賞 須田 幸太(JFE東日本)
▽久慈賞 佐竹 功年(トヨタ自動車)
▽小野賞 JFE東日本
▽首位打者 石川 桜太(東芝)14打数6安打 打率.429
▽打撃賞 沓掛 祥和(トヨタ自動車)、今川 優馬(JFE東日本)
▽若獅子賞 峯本  匠(JFE東日本)、岡  直人(日立製作所)

◇大会優秀選手◇

投手

須田 幸太(JFE東日本)、本田健一郎(JFE東日本)、川尻 一旗(トヨタ自動車)、佐竹 功年(トヨタ自動車)、岡野祐一郎(東   芝)、岡  直人(日立製作所)、藤井 聖太(パナソニック)、中川 一斗(JFE西日本)、阿部 翔太(日本生命)

捕手

土屋 遼太(JFE東日本)、中園雄一郎(日立製作所)、浦 翔太郎(JFE西日本)

一塁手

沓掛 祥和(トヨタ自動車)、金子 聖史(東   芝)、橋本 拓也(JFE西日本)、広本 拓也(日本生命)

二塁手

峯本  匠(JFE東日本)、田中 友博(JFE西日本)、山田 峻士(NTT西日本)

三塁手

平山  快(JFE東日本)、小河  諒(トヨタ自動車)、横田 拓也(パナソニック)、原田 拓実(日本生命)

遊撃手

長谷川裕介(JFE東日本)、樺沢  健(トヨタ自動車)、岡部 祐太(東   芝)、岡  将吾(JFE西日本)

外野手

今川 優馬(JFE東日本)、中沢 彰太(JFE東日本)、多木 裕史(トヨタ自動車)、逢沢 峻介(トヨタ自動車)、石川 桜太(東   芝)、大塚 直人(日立製作所)、佐藤 直樹(JFE西日本)、皆川  仁(日本生命)

DH

内藤 大樹(JFE東日本)、村上 貴哉(東   芝)、中西 純平(NTT西日本)

豊田社長応援駆けつけるも3年ぶり日本一あと一歩・・・

<JFE東日本・トヨタ自動車>壇上に上がり気勢を上げるトヨタ自動車・豊田章男社長

<トヨタ自動車>3年ぶりの優勝には届かなかった。準決勝に続いて豊田章男社長(63)がスタンドに応援に駆けつけ、7回には4番・沓掛(くつかけ)の右翼線二塁打で2点差まで詰め寄ったが、あと一歩及ばず。藤原航平監督は、「ミスから失点になっている。目指した野球はできなかった」と、悔しさを隠さなかった。4番手で登板した佐竹は、2回を無失点で切り抜け、久慈賞を獲得。36歳のベテラン右腕は「さらにレベルアップして、帰ってきたい」と、早くも来年を視野に入れた。

東芝府中OB ノーバン始球式 落合氏「感謝」

都市対抗に出場した当時の東芝府中のユニホーム姿で始球式をする落合博満氏

社会人野球・東芝府中OBで、元中日監督の落合博満氏(65)が決勝戦で自身初の始球式を務めた。当時の写真から復元したという東芝府中のユニホーム姿でマウンドに上がると、帽子を取ってスタンドにあいさつ。捕手までノーバウンドで投球し、「届いてよかった。まさか90回の記念大会に始球式ができるとは感謝の言葉だけ」と笑顔を見せた。76年大会で主砲として東芝府中を初出場に導いた落合氏は「都市対抗に出場して(野球人生の)扉が開かれた。社会人野球をやってなかったらここにいない」と、感慨深げに振り返った。

スポニチ後援 応援団コンクール 最優秀賞はJFE東日本

スポニチ後援第57回応援団コンクール・大会期間賞の選考委員会が東京ドーム内で行われ、最優秀賞はJFE東日本(千葉市)が受賞した。
総州太鼓や千葉踊りなど郷土色あふれる演目と一体感あるパワフルな応援で、数々の逆転劇やサヨナラ勝ちを演じたチームの快進撃を後押しした。
優秀賞は日立製作所(日立市)。オレンジ色のビブスと黄色のマフラータオルでスタンドを統一した応援は圧巻。子供のチアリーダーやさまざまな着ぐるみがステージに登場するなど楽しいパフォーマンスを披露した。
敢闘賞は東芝(川崎市)。赤いマフラータオルで一体感のある応援を展開。オリジナルの演奏曲や応援団の洗練された動きも光った。
▽最優秀賞 JFE東日本
▽優秀賞 日立製作所
▽敢闘賞 東芝

◇第90回都市対抗野球クイズ当選者(敬称略)
▽東京ドーム賞 池内広(千葉市)▽東芝賞 中西映美(山口県柳井市)▽日立賞 深野敦史(さいたま市)、中里江里子(東京都稲城市)、石川俊明(千葉県浦安市)▽パナソニック賞 橋本菜穂(横浜市)、田中由美(熊本市)▽Honda賞 児玉健史(高松市)、本田保敬(福岡県宗像市)▽JR東日本賞 小林美智子(千葉県松戸市)、松田大地(神戸市)▽セガサミー賞 湯口景右(大分県中津市)▽NTT西日本賞 五十嵐陸人(新潟市)▽NTT東日本賞 松村亮文(佐賀県有田町)▽ヤマハ賞 谷貝節子(愛知県半田市)▽都市対抗賞 志村俊明(東京都千代田区)、増田きよみ(千葉市)、槙尾瑞穂(岡山県倉敷市)、柴田歩美(静岡県袋井市)、生田目清隆(北海道苫小牧市)、滝下勝人(千葉県柏市)、佐藤純子(東京都板橋区)、丸山博史(東京都品川区)、菱山治武(東京都豊島区)、平野豊(香川県三木町)