第49回スポーツニッポンフォーラム
第49回スポーツニッポンフォーラム
令和元年、まずはサッカー三昧! ~なでしこW杯、コパアメリカ、U-20W杯・・・あなたのお目当てはどの大会?~
スポーツ振興支援と国民の体力づくりを考える異業種交流勉強会「第49回スポーツニッポンフォーラム」が15日、東京都千代田区のKKRホテル東京で開催され、230人が参加した。「令和元年、まずはサッカー三昧!~なでしこW杯、コパアメリカ、U―20W杯…あなたのお目当てはどの大会?~」をテーマにシンポジウムを開催。柏レイソル・ヘッドコーチで元日本代表主将の井原正巳氏(51)、本紙評論家で元日本代表主将の鈴木啓太氏(37)、元女子日本代表の川上直子氏(41)がパネリストとして登壇し、日本テレビの鈴木健アナウンサー(51)の司会進行で約1時間にわたり、活発な意見が交わされた。
好成績の森保ジャパン
鈴木健 よろしくお願いします。まずはフル代表について伺います。森保一監督率いる日本代表は14戦11勝1分け2敗。この成績はいかがですか。
井原 歴代監督の中でもトップクラスでは。若い選手を使い、世代交代も考えながら結果を出しさすがです。同年代で代表でも一緒でしたが、広島監督として3回リーグ優勝し経験も豊富。代表は広島のサッカーとは違いますが、考えてやられている。コーチとして参加したW杯のメンバーを中心に前監督のサッカーもうまく継承しています。コミュニケーションしやすい立場で監督になり、いい形で作用している。
鈴木啓 中島(翔哉、24=アルドハイル)、堂安(律、20=フローニンゲン)、南野(拓実、24=ザルツブルク)あたりの個性を生かしながら新しいものを作りだそうとしている。広島時代は3バック、今は4バックですが、広島では前任の(ミハイロ・)ペトロヴィッチ監督(札幌)の3バックを継承していた。柔軟で、人柄も素晴らしい。ついていこうという気にさせる人です。
川上 女子を指導されても選手に好かれるのでは。選手はもちろん、試合後のコメントなどは見ている人にも気を使っておられるように感じます。女子はまんべんなく選手に気を使ってくれる監督でないとついて行かない。誰か一人が嫌いと言うと伝染して一つになれない。難しいんです。
井原 代表監督はプレッシャーが違うと思います。岡田(武史)さんはジョホールバルでW杯に出場できなかったら家に戻れないと言っていたくらい。森保監督は悲壮感が顔に出ず、余裕がある。常に謙虚で腰が低く素晴らしい人間性があります。
鈴木啓 佐藤寿人(37、千葉)は厳しいところもあると言っていました。広島時代に交代時の態度が良くなく、一週間練習に参加させてもらえなかったと。当時、佐藤は主将で絶対的エース。森保さんは凄いな、と。
井原 岡田さんがコーチから監督になられた時も〝岡ちゃん〟と言える空気をなくしました。練習や選手との接し方を変え、合宿で不真面目に見えた選手を帰したことも。それまではいい兄貴的な存在でしたが、あえて厳しさを見せつけたところもあるのでは。
日本人?外国人?監督はどっちがいい?
鈴木健 日本人監督、外国人監督のメリット、デメリットのようなものはありますか。
井原 コミュニケーションは全然違います。日本人だと日本人の性格を知った上で直接話せるので、目指すサッカーや指導の意図が分かりやすい。外国人だと通訳が入るし、日本文化や日本人の性格を理解してくれないことも。一番やりづらかったのは(フィリップ・)トルシエ監督です。日本人に対して厳しい見方や発言をされることもありましたが、選手は真面目にやっていた。僕は代表を外されましたが(苦笑)。
鈴木啓 僕は外国人監督の方がやりやすかった。言葉が分からないので、何か言ってるな、怒ってるな、くらい。印象に残っているのは(イビチャ・)オシムさん。先発は試合会場に行かないと分からない。ミーティングでは哲学的な話をしたり、少し情報を話すくらい。コーチもグラウンドに出て初めて練習メニューが分かる。緊張感が凄くありました。試合中の戦術も、生活でも、常に何が起きても対応できるようにしろ、思考を止めるなとよく言っていました。休まらないし、頭の中が凄く動いている感じでした。でも楽しかったです。
川上 外国人監督とプレーした経験はありませんが、今は女性監督が増えました。女同士も難しい。似た者同士で家で母娘がぶつかるようなもの。なでしこジャパンは監督、コーチが女性なので、GKコーチは男性とバランスが取れていい。全員が女性だと恐ろしい。
鈴木健 南米選手権の話をしましょう。井原さんは99年に出場されました。
井原 フル代表で行きましたが凄くいい経験でした。1分け2敗でしたが、厳しい環境の中での試合が財産になり、チーム、個人として成長できました。南米選手権は五輪同様国際Aマッチではないので、海外は特にそうですがクラブが拒否すると呼べないんです。今回は五輪代表になるであろう選手が多く選ばれ、そういう選手の強化の場になるでしょう。フル代表と五輪代表を兼任されている森保監督がチームを見られるのが一番のメリット。クラブとの間でいろいろな制約もあるとは思うが、来年の東京五輪に向けてしっかりチームを作ってくれるはず。選手を見て力のあるチームと対戦することで、構想は変わるでしょうし、フル代表にもつながる。両方を融合させるためにも大事な大会です。
鈴木啓 A代表で行くよりも23歳以下で行く方がいいのでは。ほとんど試合をしていませんよね。僕はアテネ五輪で最終予選を戦って本大会に出られなかった。五輪には悔しい思いがある。日本開催で注目されているのでいい結果を残してほしい。W杯につなげるための五輪代表という考えもあるので監督がどんな選手を招集するのか。メンバー選考は大変だと聞きますが、できる限りいいメンバーで行ってほしい。
鈴木健 グループリーグではウルグアイ、チリ、エクアドルと対戦しますが、見どころは。
鈴木啓 チームとして戦うのはメンバー選考もあり非常に難しい。海外でやるということで、個人がどれだけ通用するのかという物差しになることは楽しみです。
川上 厳しい戦いになるでしょう。日本以外の国にどれくらいの力があるかも見てみたいと思います。
鈴木健 南米の国にとっては大陸選手権。ベストメンバーで来るでしょう。ブラジルはネイマール(27=パリSG)、チリは(アルトゥロ・)ビダル(31=バルセロナ)、ウルグアイは(ルイス・)スアレス(32=バルセロナ)など、一流選手が出場します。日本代表がどう戦うか。FC東京の久保(建英、17)が代表デビューするのではと言われていますが。
井原 あの若さでプレースタイル、技術が本当にしっかりしている。ドリブルで交わせて決定力もあり、素晴らしい。バルセロナに戻るのではと言われていますが、将来メッシになる可能性もあり、楽しみです。早く代表デビューすることで、より上に行く可能性が広がるのかなと。
井原 サッカー経験者から見ても非常に高レベル。いずれは世界で活躍するでしょう。ただまだこれから。どれだけ成長するのか楽しみです。ぜひ出場して、同年代の世界で活躍している選手たちを知るのもいいですし、どれだけ通用するのかは日本国民皆が期待しているのでは。
川上 05、06年の日テレ時代、当時幼稚園児だった久保の担当スクールコーチでした。一生懸命リフティングをしていた子が成長したんだ、努力は実るんだと見るたびに思い、個人的に応援しています。
なでしこジャパンは初の女性監督で臨む
鈴木健 それでは、6月7日開幕の女子W杯フランス大会に話題を移しましょう。なでしこジャパンはグループステージでアルゼンチン、スコットランド、イングランドと戦いますが、川上さん、見どころをお願いします。
川上 女子は五輪の前年にW杯が行われます。日本は今回、初めて女性監督で臨むことになりますが、かなり若い選手を選びましたね。直前までいろいろな選手を試していたので、大会に入ってみないと分からない部分もある。チーム力を急ピッチで上げていく段階ですね。
鈴木健 23人を招集し、その中で初めてW杯に出る選手が17人もいます。11年W杯ドイツ大会の優勝メンバーが5人。15年カナダ大会の準優勝メンバーはその5人プラス1人。つまり、W杯経験者は6人しかいないということになります。
川上 高倉麻子監督がアンダー世代という若い選手を指導していたので、その育てた選手たちがたくさん入っています。選手の特徴は十分に把握しているので、彼女たちが監督の期待に応えてくれるのではないでしょうか。そこに期待したい。
鈴木健 落選した選手に触れると、最高峰の米リーグでプレーしているFW永里(優季、31=シカゴ・レッドスターズ)、11年大会優勝メンバーのFW川澄(奈穂美、33=スカイブルー)が外れたことにびっくりした。さらに、16年から3年連続リーグ得点王のFW田中(美南、25=日テレ)も落選。監督の選ぶ基準についてはどう見ますか。
川上 選考についていろいろなことを思う人がいるでしょう。例えば、日テレから10人が選ばれている。全員が先発ではなく、途中出場が多い選手もいる。自分のチームでは先発するのが当たり前なのではと思う人もいるでしょうが、私たちは応援するしかない。
鈴木健 ここだけの話、入れておいた方がいいと感じた選手はいますか。
川上 永里はまだまだトップでできる選手。昨年はオーストラリアでも結果を出していたし、先発としての実力はある。
鈴木健 優勝した11年はパスをつないで、体の大きな外国勢を翻弄(ほんろう)するという日本のよさが出た。その後、世界の潮流は変わってきたのでしょうか。
川上 11年、世界はスピード&パワーで来ていたが、その後は日本のパスをつなぐサッカーをまねしてきている。まねをした上に力もつけてきた。今回の開催国フランスはスピードもパワーもあって技術も素晴らしい。4月に試合をしたときはめちゃくちゃにやられましたね。大人と子供のようで、差を見せつけられた。
鈴木健 世界ランキングは4位。体は大きいのに、ショートパスはうまい。後手後手に回った。
川上 米、ドイツ、イングランドも力がありますね。
鈴木健 日本の上位進出は大丈夫でしょうか。
川上 初戦のアルゼンチンと次のスコットランドには勝ってもらわないと。イングランドは頑張って引き分ける。イングランドに負けたとしても、先に2勝していれば決勝トーナメントにはいける。
鈴木健 2大会ぶり世界一の可能性は。
川上 今のところ、10%くらいかもしれない。でも、11年もまさか優勝するとは思っていなかったし、若い選手が多いので、大会を通して伸びる。
井原 高倉監督が見ていたアンダー世代の選手が結構入っていますね。
鈴木健 U―17W杯で優勝した選手を6人入れています。今20歳を超えたくらいの選手たちですね。井原さん、やはり自分が見てきた選手は使いやすいですか。
井原 もちろんそれはあると思う。世界の舞台でも物怖じしないし、それをフル代表に生かしたいということでしょう。来年にもつながりますし。
鈴木啓 女子のレベルは相対的に見て高いと思う。男子の方がチャレンジする感じで、女子は上まで行かないといけないという重圧があるかもしれない。女子は追われる立場。W杯で優勝しているし、五輪では銀メダルを獲ったので宿命かもしれない。だから、メンバー選考は大変だったのかな。結果を残せば全てが変わる。残せないといろいろ言われてしまう。それが勝負の世界だから仕方がないですよね。
川上 女子は16年のリオデジャネイロ五輪出場を逃してしまった。それもあって、国内リーグでも観客が今ひとつ伸びない。やはり結果を出さないとという重圧を背負っている。ひとつでも上のカテゴリーで結果を残してもらいたい。
鈴木健 注目選手についてはどうですか。
川上 中心となるのは長谷川。信頼度はかなり高いと思う。運動量は抱負で、攻守に顔を出し、試合中に消えることがない。攻められることが多くなると鮫島、宇津木、熊谷という世界一を知っている3人が中心となってくる。FWでは岩渕に期待したい。ケガが多いが素晴らしいものを持っているので活躍してもらいたい。
強敵ぞろいU―20W杯初戦エクアドルが鍵
鈴木健 最後に、U―20W杯ポーランド大会について。1次リーグはエクアドル、メキシコ、イタリアとの対戦。エクアドルは南米予選優勝、北中米カリブ地域2位のメキシコ、そして欧州の強豪イタリアですね。
井原 対戦相手が凄いですね。初戦に懸かっていると思う。エクアドルはこの年代に力を入れていて強い。影山(雅永)監督は私の筑波大時代の同級生だし、何とかしてくれる。メンバー選考は思うようにできなかったところはあるが、選手はここをステップにして次を考えていると思うので楽しみです。
鈴木健 久保はこの大会にも出られるが、選ばれなかったので南米選手権でしょう。鹿島の10番・安部(裕葵、20)も広島のGK大迫(敬介、19)もそうですね。主軸となる選手がいない印象ですが、啓太さんいかがですか。
鈴木啓 将来、日本代表になるべき選手たちだと思う。だから、中心になりうる選手が呼べないことは、いい刺激になる。自分と同じ年代の選手がA代表に行くというのはもの凄い刺激。これまで中学、高校と同じ年代で選ばれてきたものが、ここで一気に世代別ではなくなる。これはいい機会と捉えてもらい、乗り切ってもらいたい。活躍して自分もAに行くという気持ちを持ってほしい。全てA代表につながる道だと捉えて臨んでもらいたいですね。
井原 去年福岡で監督をしていた時に青森山田の三国を誘ったが、私が福岡を退任してしまった。今、彼は福岡でレギュラー。1㍍92あって、スピードもある選手なので、ここで力をつけて帰ってくれば次につながる。攻撃面では田川。スピードもあり、ゴール感覚も優れた選手なので期待している。
鈴木啓 僕は中村に注目している。キャンプで見たが、本当にアグレッシブでいい。伸びしろが満載。自分のチームでは難しい状況なので、こういう世界大会などを経てストライカーとして成長していってほしい。
鈴木健 彼は元々フットサルをしていたので、テクニックがあり、上背もある。久保、安部が抜け、ボーダーラインにいた中村が入ったという報道もあった。
鈴木啓 彼らは同じ世代で戦っていたので、ライバル意識があり、いい刺激になる。川上 実は小林は知り合いの息子なんです。応援したいですね。
鈴木健 お母さん目線ですね。私も取材しましたが、物腰がソフトでいい選手です。ぜひ23日から、将来の日本代表選手たちの試合を皆さんに見ていただきたいですね。本日はどうもありがとうございました。
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