第74回毎日映画コンクール(2019)
2019年(第74回)毎日映画コンクールの表彰式が13日、川崎市のミューザ川崎シンフォニーホールで行われた。「蜜蜂と遠雷」で日本映画大賞に輝いた石川慶監督(42)は誇らしげにブロンズ像を掲げた。成田凌(26)とシム・ウンギョン(25)も初の主演賞に感激の面持ち。スポニチグランプリ新人賞に選ばれた「蜜蜂と遠雷」の鈴鹿央士(20)と「町田くんの世界」の関水渚(21)はさらなる飛躍を誓った。
成田凌 どんな役もチャレンジ
周防監督も祝福
「とてもありがたいけれど、正直、個人的というよりお世話になった人の顔ばかりが浮かんできた。皆でもらった賞。感謝しかないです」。成田は、トロフィーの重みをかみしめながら受賞の感激に浸った。
オーディションで勝ち取った映画初主演。日本映画の黎明(れいめい)期に活躍した活動弁士(カツベン)になることに徹した。「映画の始まりの映画だから責任は重大。でも、時間をかけて丁寧に一カット一カットを撮っていったので恥じないものはできたと思う」と振り返った。
周防正行監督(63)も祝福に駆け付け「ここまでうまくなるとは思わなかった。改めて感謝を伝えたいし、僕はラッキーだった」と称賛。成田も「監督が一番現場を楽しんでいたので、楽しい現場はいいなと思った」と応じた。
「去年はトリッキーな役が多かった」と振り返ったが、今年は主演の「弥生、三月―君を愛した30年―」「糸」など人間ドラマが目立つ。それでも「どんな役でも選ばずにチャレンジしていきたい。そして、カメレオン俳優という言葉がなくなればいい。また、周防さんの映画に出られるようになりたい」と、ますます貪欲だ。
新人賞総なめ
スポニチグランプリ新人賞の関水は「この場所に立ててうれしく思います」と語ると、大きな笑顔で喜びを表現した。
デビュー作ながら主演した「町田くんの世界」(石井裕也監督)の演技が評価され、主要映画賞の新人賞を総なめにした。「この映画がなければ、お芝居の楽しさや素晴らしさを知ることがなかった」としみじみ。まさに人生の転機となる作品となった。
1000人が参加したオーディションで勝ち取った主役の座。この日は北島直明プロデューサーが「オーディションで芝居ができなくて泣いちゃった」と秘話を明かした。関水は「どうしてもやりたいと思ったら緊張しちゃって…」と照れ笑いした。ただ、辛抱強く待って演技を見た石井監督によってヒロインに抜てきされた。撮影3カ月前から必死にリハーサルに取り組み、いまや芝居のとりこになった。
「(演技は)生きる活力。これがないと私、生きていけないんです」。女優業に対する思いは熱い。目標は「息の長い女優」。映画界に欠かせない女優になってほしい。
演技に夢中 生きる活力 関水渚
<毎日映画コンクール概要>
毎日映画コンクールは1946年(昭和21年)、日本の映画産業の振興に寄与し、国民に映画の楽しさを広く伝えることを目的に、毎日新聞社とスポーツニッポン新聞社によって創設された国内最高峰の映画賞です。
【オープニングセレモニー開催】
2月13日(木)午後2時から約30分間、表彰式の前に受賞者によるオープニングセレモニーを行います。会場は川崎市幸区の「ミューザ川崎 光のブリッジ」です。受賞者たちの喜びの姿を観覧できます。
2019年毎日映画コンクール(第74回)の各賞が決定
国際ピアノコンクールを舞台に4人のピアニストの心模様を音楽で映し出した石川慶監督(42)の「蜜蜂と遠雷」が日本映画大賞に輝いた。男優主演賞は「カツベン!」の成田凌(26)、女優主演賞は「新聞記者」のシム・ウンギョン(25)が受賞。田中絹代賞には風吹ジュン(67)が選ばれた。表彰式は2月13日、川崎市のミューザ川崎で行われる。
2019年(第74回)毎日映画コンクール各賞◇ ※敬称略 | |
---|---|
日本映画大賞 | 「蜜蜂と遠雷」 |
日本映画優秀賞 | 「新聞記者」 |
外国映画ベストワン賞 | 「ジョーカー」 |
監督賞 | 石川 慶「蜜蜂と遠雷」 |
脚本賞 | 阪本順治「半世界」 |
男優主演賞 | 成田 凌「カツベン!」 |
女優主演賞 | シム・ウンギョン「新聞記者」 |
男優助演賞 | 吉澤 健「凪待ち」 |
女優助演賞 | 池脇千鶴「半世界」 |
スポニチグランプリ新人賞 | 鈴鹿央士「蜜蜂と遠雷」 |
スポニチグランプリ新人賞 | 関水 渚「町田くんの世界」 |
田中絹代賞 | 風吹ジュン |
撮影賞 | クリストファー・ドイル「ある船頭の話」 |
美術賞 | 磯田典宏「カツベン!」 |
音楽賞 | RADWIMPS「天気の子」 |
録音賞 | 藤本賢一「半世界」 |
ドキュメンタリー映画賞 | 「えんとこの歌 寝たきり歌人・遠藤滋」 |
アニメーション映画賞 | 「海獣の子供」 |
大藤信郎賞 | 「ある日本の絵描き少年」 |
特別賞 | 宮本まさ江(衣装) |
◇TSUTAYAプレミアム映画ファン賞◇ | |
日本映画部門 | 「凪待ち」 |
外国映画部門 | 「ジョーカー」 |
<毎日映画コンクール表彰式>
第74回毎日映画コンクール表彰式は下記の通り開催されます。
【オープニングセレモニー】
2月13日(木)午後2時から約30分間、表彰式の前に受賞者によるオープニングセレモニーを行います。会場は川崎市幸区の「ミューザ川崎 光のブリッジ」です。受賞者たちの喜びの姿を観覧できます。
【テレビ放送】
BS12(トゥエルビ)で3月1日(日)午後4~5時に表彰式の模様を放送します。
どうぞご期待ください。