ゲーミング規制の専門家、ピーター・コーエン氏が解説 「責任あるゲーミング」の意義と取り組みの重要性

「責任あるゲーミング」は、日本ではまだあまりなじみのない言葉ですが、統合型リゾートが運営されているマカオでは非常に重要な取り組みとして位置づけられています。ギャラクシー・エンターテインメント・グループ(GEG)は、ゲーミング業界のリーダーとしてマカオ政府が提示する規制に沿って、責任あるゲーミングへの取り組みを強化し、お客様のために楽しく安全な環境を整備してきました。この度、オーストラリアの元規制当局者で、現在は豪アジェンダ・グループに所属するゲーミング規制の専門家、ピータ・コーエン氏に、「責任あるゲーミング」の意義とその重要性について解説していただきます。

「責任あるゲーミング(Responsible gaming)」とは?

「責任あるゲーミング」とは、「利用者の経済的許容範囲内で、管理された方法でゲーミングを行うことであり、その方の人生や周囲の人々の生活に悪影響を与えるものではない。」と豪ビクトリア州にある独立機関、責任あるゲーミング財団は定義しています。

私は「責任あるゲーミング」に関して様々な見解を耳にします。多額のお金を投資する人は、ギャンブル依存症の問題を抱えているに違いないと考える人もいますが、当人の保有資産額やゲーミングから得られる楽しさも同時に配慮されるべきです。「責任あるゲーミング」とは、単に投資額の大小で問題を測るのではなく、ゲーミングによる悪影響を考慮することだと言えます。 悪影響とは、単にお金を失うことだけではありません。たとえ金銭的に余裕があったとしても、ゲーミングに時間をかけすぎると、依存症の問題を抱えてしまう可能性があります。

ただし実際には、依存症の専門家であるハーバード大学医学部のデビ・ラプラント博士やハワード・シャファー教授らが2007年の論文「ギャンブルの影響について:適応を含む露出度モデルの拡大」で提唱している通り、新しい統合型リゾートができるなどゲーミングの機会が増えたとしても、その現象に適応しながら耐性を持つようになるため、時間の経過とともに問題ある行動は減少してきます。そのため過度に影響を懸念する必要はありませんが、政府ならびにIR事業者が「責任あるゲーミング」を徹底し、悪影響を最小化する対策をとることが重要です。

「責任あるゲーミング」の 効果的な取り組み方は?

最善の方法は、ゲーミングの種類やその地域の法文化に沿う、科学的に実証された適切な手段を採用することです。すでに有効性が確立されている自己排除プログラムなどの措置は、従業員のトレーニングや適切な経済的および心理的カウンセリングへの資金提供同様に、地域を問わず組み込まれるべき制度です。

ギャラクシー・マカオ、スターワールド・マカオ、ブロードウェイ・マカオなどの統合型リゾートを運営するGEGは、マカオのIR業界を牽引し、「責任あるゲーミング」に関する従業員向けの豊富なトレーニングや定期的な教育プログラムを提供しています。また自己排除プログラムを導入し、経済的なカウンセリングも実施しています。

卑近な例ですが、適切な「責任あるゲーミング」体制を実現しようとするなら、スキーリゾートを運営するように考える必要があります。まず、利用者にスキーの遊び方を教え、安全にスキーを楽しむために使うべき道具を説明し、危険な場所には標識を置き、最も危険な斜面での事故を防ぐためにガードを設置するでしょう。それでも、不慮の事故で転倒し足首を骨折する人もいるため、山の麓には病院が必要になります。しかし、安全に参加して楽しむことができる圧倒的多数の人々が、スキーを続けることを許されないということにはなりません。

次回は、引き続きピーター・コーエン氏に、マカオ市場の責任ある規制と諸外国における法規制の比較、GEGの取り組みに対する評価、日本市場の展望について語っていただきます。

(Galaxy Entertainment JAPAN 提供)