仲間がGET クロダイ48センチ

  • 芸人が釣る!【東京湾】
    吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之が東京湾でルアーのクロダイ釣り「チニング」と落とし込みの二刀流に挑んだ。スポニチで連載を重ねること21回。初めてのオデコに泣いた。

「チニング」と落とし込みの二刀流に挑む

バラシが続き…

初クロダイに興奮気味の宮内さん

「ゴーゴーガイドサービス」のボートに乗り込み、同乗したのは釣り仲間の宮内和也さん。まずは「ボトムチニング」というバスタックルでクロダイ、キビレを狙いました。
クロダイ狙いの釣り自体が初めてだという宮内さんに、船長のレクチャーを制し、僕が手取り足取り教えます。
「キャストして底を取り、軽くシェークしながらズルズル引いてくる。コツコツって分かりやすい当たりがあったら鋭く合わせる。そのうち僕が釣るんで見とってください!」
調子に乗りまくった結果、3ヒット3バラシ。そのうち1度は大物が掛かってビックリし過ぎて合わせ切れ。宮内さんも2ヒット2バラシ。
当たりも遠のき、暗雲立ち込めたので「落とし込み釣り」に切り替え。ポイントも移動。
「この釣りは、障害物や岸壁に居着いたクロダイを、餌のカラス貝やカニのルアーを落とし込んで食わせる釣りです!ま、これはもう絶対に釣れるんで」
こんなん言っちゃって、これまたオデコ。
そうこうしているうちに、雨も降りだし、タイムアップ!それでもまだ僕は焦っていませんでした。なぜなら、ゴーゴーガイドサービスの船着き場にびっしりクロダイがいることを知っていたからです。帰港して船長から許可をもらい、奥の手として船着き場で歩きながら落とし込み釣りを続行!

カニのルアーで

取材初のオデコに茫然自失の筆者

宮内さんに「ここはカラス貝がたくさんいるので、カラス貝のルアーにしときましょ」と言うと「カニのルアーにしてみます」と、初めて僕のレクチャーとは違う物をチョイス。「あー、宮内さん、俺の言うこと聞かんから釣れへんでー」と思って釣りを始めた直後、何とヒット。宮内さんが。気持ちイイくらいの竿の曲がり。めちゃくちゃ楽しそう。48センチのクロダイが釣れたのです。情けなくなった僕は、雨に濡れながら一筋の涙を流しました。もう一度謙虚に、真摯(しんし)に、釣りに向き合おうと思わされた5月の東京湾でした。


 

◎芸人こぼれ話 

〝自称〟作詞家の父はパクリ疑惑⁉

父の伊藤英明は家業の結納屋のかたわら“自称”作詞家をしていました。
10年ほど前のこと…今まで恋愛系の歌詞が多かった父が「新作ができた」と僕の元に歌詞カードを送りつけてきました。曲名は「なんやっ中年」。
「身のほど知らずで家建ててもた。長めのローン組んでもた…」
中年オヤジの悲哀をポップに自虐的に歌っています。サビはキャッチーなフレーズで「それがなんやっ中年!」。
これまでの芸風とは180度違う違和感しかない親父の新曲を見て、ピンときました!
「ウルフルズやん。俺の大好きなウルフルズの手法やん。あのオッサン、やりおったな」とは、口が裂けても楽しそうにしている父親に言うことはできませんでした。
僕は当時のブログにこの歌詞カードを載せ、普通に父親のことを紹介しました。すると次の日、父から物凄いけんまくで電話がありました。
「あの曲未発表なんや。今すぐ消してくれ!」
「何で?」
「盗作される恐れあるやろ!」
「いや、おまえがパクッとんねん!」
(ビシッと、言ってやりました)

伊藤貴之(いとう・たかゆき)
1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身。18年に石橋俊春とお笑いコンビ「官兵衛」を結成しデビュー。よしもと若手の劇場、ヨシモト∞ホール(東京・渋谷)で修業を積んでいる。

※内容は掲載時のものです。
スポニチ2021年5月14日付