陸っぱりからカサゴ33.5㌢
- 芸人が釣る【静岡県・西伊豆】
吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之が狙ったのは陸(おか)っぱりからのカサゴ。そして釣れたのは特大サイズ。外野からは「釣り名人」の声が…。
即席「ブラクリ仕掛け」で釣り名人⁉
アオリイカ狙い
大変ありがたいことにスポニチの取材などで船釣りをさせていただく機会が増え、陸っぱりでの釣りが減ってきた今日この頃でございます。
読者の皆さまにおかれましては「結局、おまえは腕の良い船長さんに釣らせてもらってるだけなんだろ?」とお思いの方もおられるのでは?(誰も何とも思ってない)
ですので今回は陸っぱりでの最近の釣果を載せて皆さまをギャフンと言わせようと思います!
静岡県西伊豆の土肥へ、エギングのアオリイカを狙いに行ったのですが全く釣れる気配がなかったので、急きょ消波ブロックでの穴釣りに変更。ただし穴釣りの仕掛けを何も持ってきていなかったので、タックルボックスの下に転がっていたブラックバス用の激細フックに、これまた転がっていたしなびたワームを付け、アジング用の3グラムシンカーをセット。即席「ブラクリ仕掛け」の完成。
ひときわ妖気を放っていた一番怪しい穴に仕掛けを投入。流れに任せ、自然なスピードで沈めていくと、竿先がクンッと曲がる。フッキングをすると、ウツボか?と思うほどの物凄い引き。穴の奥深くに潜り、一瞬ラインが消波ブロックにこすれたので、すぐに角度を変えて一気に巻き上げる。
上がったのは、何と33・5センチの大型カサゴ。陸っぱりから釣れるカサゴとしては、もうめちゃくちゃデカい!感無量でした。
近くでサビキをやっていた家族連れのチビっ子たちから「すげー!」「釣り名人」という称賛を浴び、悦に入っていると「釣り名人は1人で来てるの?友達いないの?彼女いないの?」とグサリ。
僕がギャフンと言わされてしまいました。
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芸人こぼれ話
「ふがふが」じいさん心の叫び
自分が商店街育ちということもあり、上京したての頃、距離感の近さと人の温かみを求め、東京の有名商店街に住んでいました。
住んでいたアパートの真向かいには、毎朝近所迷惑なんてお構いなしの大声でけんかする70歳代の老夫婦が住んでいました。
近所ということもあり、次第に老夫婦と仲良くなり立ち話をするまでの関係になっていました。しかしばあさんはハキハキとしゃべるのですが、じいさんが何を言っているのか一度も聞き取れませんでした。
歯がないのに、入れ歯を持っていないので常に「ふがふが」言ってる感じでした。
そこに住んだ2年間で、たった一度だけじいさんの言葉がハッキリ分かったことがありました。
ある日の深夜1時。コンパで盛り上がり、仲良くなった女の子を自分のアパートに連れ込もうとした時に、じいさんの家の小窓がカラカラカラと開き、「うらやましいな~」。ピシャリ!(小窓を閉める音)。じいさんの心の叫びが、はっきりと僕の耳に届きました。
伊藤貴之(いとう・たかゆき)
1986年(昭61)、岐阜県生まれの34歳。18年に石橋俊春とお笑いコンビ「官兵衛」を結成しデビュー。よしもと若手の劇場、無限大ホール(東京・渋谷)で修業を積んでいる。
※内容は掲載時のものです。
スポニチ2020年9月20日付