俺の勝ちや!! マハタ2.6㌔
- 芸人が釣る!【勝浦松部港】
吉本興業のお笑いコンビ「官兵衛」の伊藤貴之が狙ったのはマハタ。勝浦松部港の信照丸に乗り込んだ。特大の本命を釣ることができた。
急にゴツンと“ジェットコースター引き”
カンちゃんも初
イワシの泳がせでマハタを狙いに行ってきました。ゲストは、僕の知ってる男の中で一番のイケメン「ゲテモノハンターKEITA」ことカンちゃんです。長瀬智也似のイケメンで、1メートル80以上の高身長、おまけに優しい。そんな彼と、平気で人を裏切れるトカゲ顔の僕は2人ともマハタ五目が初めてでした。
前日の釣果が芳しくなかったことを聞き、「とにかく2人で1匹でも釣れたらイイよね?」と弱気発言をするカンちゃん。「そやなー」と相づちを打ちながらも、心の中では「俺だけでも釣るからなー!」と抜け駆けする気満々のトカゲ。
若船長の吉野達哉さんから、イワシの付け方や底に仕掛けが着いたら3~4メートル巻き上げて当たりを待つこと、40秒ごとに底を取り直すことなどを分かりやすく教えてもらい1投目。オモリが着底して、糸フケを取って…「来たー!」。
僕ではなくカンちゃんに。それもかなりの大物。めちゃくちゃファイトを楽しんだ後、姿を現したのは何と、4・3キロのヒラメ。
「いやー、いきなり釣っちゃいました!次は伊藤君だね」
めちゃくちゃ爽やかなカンちゃん。
内心、「このイケメン、釣りもうまいんかい!勝負仕掛けたりせんくて良かったー」とホッとしながら、「お、おお!次は俺やな。本命は俺が釣るからな」と相づちを打っておきました。
3匹ずつお土産
すると、しばらくして「来たー!」
僕ではなくカンちゃんに。「さっきとはまた違う引きです」とか言っちゃって楽しんだ揚げ句、釣り上げたのは本命のマハタ。2キロほどの良型。やってくれるじゃないの。何の言い訳もできないところまで追い込まれ、スネていたところについに「来たー!」。カンちゃんに。もう彼のことが嫌いになりそうです。
「少しは空気読んでくれや。何でコイツばっかり!」。心の中で恨み節を唱えていた最中に、ゴツンッ!グン!ググン!物凄い荒々しい暴力的な引きが急に来ました。
「来たー!」。僕にも来ました。引きが強すぎて、「あー!やばいやばいやばい!」。
まるでジェットコースターに乗ってる時のような感覚。上がってきたのは、船中最大になった2・6キロのマハタ。カンちゃんよりも僕の方が比べものにならないほどデカい。
「よし。見たか。俺の勝ちや!」と心の中でこっそり悦に入っていると、「いやー、伊藤君はやっぱり凄いね。船中最大おめでとう。僕の負けだよ!」と満面の爽やかスマイルで、彼は僕のことを称えてくれました。人としての器がデカ過ぎる。この後もお互い順調に釣れ、3匹ずつ高級魚のマハタをお土産に持って帰りました。
ステッカーはチラシ以下!?
◎芸人こぼれ話
行きつけの美容院へ散髪に行った時、僕の担当をしてくれているお姉ちゃんがお話をしてくれました。
「白目をむいたブルドッグのトレーナーをいつも着てる85歳のおばあちゃんが昔から常連さんで来てるんですよ。“可愛いわねー、これもらってイイかしら?”が口癖で、お店に置いてるチラシから使いようのないゴミまでとにかくいろんなものを持って帰るんです。この前もレジに置いてる公民館の白黒のチラシを持って帰るって言うので、“これも持って帰ってイイですよ”って勧めたら、“これは可愛くないから嫌”って初めて断ってきたんです」
笑いながらお姉ちゃんが指さしたのは、レジ前に宣伝用に置かせてもらってた僕のYouTubeチャンネルステッカーでした。俺のステッカーって、公民館の白黒チラシより可愛くないんか!
伊藤貴之(いとう・たかゆき)
1986年(昭61)生まれ、岐阜県出身の34歳。18年に石橋俊春とお笑いコンビ「官兵衛」を結成しデビュー。
※内容は掲載時のものです。
スポニチ2021年3月13日付